お世話になった編集の方の大変悲しい訃報をうけとった。仕事の丁寧な、大変誠実な方だった。残念としかいいようがない。心より冥福をお祈りする。
同じように語れる話ではないが、先日、池袋で12年近く飼っていた猫のトントが、とうとうあの世に行ってしまった。ここで仕事をするようになってからほぼずっと一緒だったが、ここ1年ほど衰弱がひどく、また義母がいなくなったため、すっかり精神的に参ってしまい、家の隅でじっとしていることが多かった。石神井公園に段ボールに7匹入れられて捨てられていたうちの一匹だった。一番小さく弱そうなのを拾って帰ったが、これが大変な大食で、気性も荒く、青-壮年期は、近所の宿敵「ジュニア」と死闘を繰り返していた。迷った末に去勢はしたのだが、喧嘩が絶えず、血まみれ、糞まみれになって帰ってくることもしばしばで、オス猫とはこんなに大変なのかと参った。この闘いで確実に寿命を縮めた。獣医をひっかいたり、噛んだりするほど気が荒かったが、その分大変な甘ったれだったので、一日中一緒にいた義母が亡くなったのがかなりこたえたようだった。病気になってしまったので、飼い猫としては短い一生だったが、玉をとられたこと以外は好きなように生きたと思っている。寂しいが仕方ない。退社されたマガジンハウスの編集者で無類の猫好きだったTさんが「トントはいるかー?」と大きな声で呼びながら家に上がってきたことなど、懐かしく思い出す。事務所にいらしていただいて可愛がってくださった方々に、お礼申し上げたい。