BBCのFolk Britannia

昨年BBC-4が連続で放映した、イギリスのトラッド、フォークシーンを振り返る企画Folk Britanniaの一部を見ることができた。60-70年代の特集で、デビュー当時のスティーライ・スパン、当時のフォーク・クラブの映像など、見所がたくさんあったが、その時代に活躍した皆さんの「現在」のインタビューを見ると、流れた年の長さがしみじみと感じられる。デイヴィー・グラハム、アン・ブリッグス、ロビン・ウィリアムソン、シャーリー・コリンズ、ディック・ゴーハン.....みんなもう、おじいさん、おばあさんだ。ジョン・マーティンなど、ダルマさんみたいに膨れていて、信じられない姿になっていた。ヒアリング力が及ばす、半分くらいしかわからなかったが、アン・ブリッグスが「まるで自分が使い古された車のように感じた」と、音楽界から去った時の気持ちを語っているのが印象的だった。彼女が活動していた年数というのは決して長くないのだが、この時代のポピュラー・ミュージックをとりまく状況の変化の激しさは今とは比較にならないものがあったのだろう。70年代中盤にフォーク・シーンは沈滞するが、80年代に入ると全く意外な形で復活する、として映るのがポーグスで、「次回に続く」となるので、次の回も見てみたかった。ポーグスのシェインの軌跡を追う特番もあったようだ。60-70年代の特集に付随して、ペンタングルの70年のライブ、ドノヴァンの72年のライブを放映したようで、それらも見ることができた。ペンタングルの方は、You Tubeにアップされているのと同じで、実に充実した演奏だった。ドノヴァンのライブはサイケな時代が過ぎ、彼が人気が少しずつ下降していったころのものだ。テレビ収録用にスタジオの中に組まれた座敷形式のステージに胡座をかいて弾き語る形で、全体に大人しい、淡々としたものだった。ビデオを送ってくれた人からロバート・ワイアットの最近の特番、ニック・ドレイクの軌跡を振り返る特番など、BBCの番組をいくつか送ってもらった。日本のケーブル・テレビでもBBCはあるが、下手な同時通訳がついたニュースばっかりやっている。一時、好きなアッテンボローの自然番組をやっていたので見たが、やはり日本語が通訳のような棒読みで、ナレーションが悪いとこれほどつまらなく感じるものかと驚いたのだった。モンティ・パイソンでもフォルティータワーズでも、あるいはBBCの音楽番組Old Grey Whistle Testでもいいから、もうちょっと面白み味のある企画をやれば見る人も増えると思うのだが。