茶毒蛾

仕事場の玄関先に、裏庭に、毛虫がぶら下がってるな...と思っていたらば、これは茶毒蛾(チャドクガ)の幼虫じゃないか。 
昨年、裏庭と庭の山茶花に茶毒蛾が巣くって大変だったのだが、今年も来たか。

茶毒蛾の幼虫は本当に始末が悪い。針の一本一本に毒素があり、しかもこれが風に舞って刺されることもあるし、虫がいなくなった後も、葉に毒素だけは残るのだ。

思い起こせば中学一年の下校時、友達を家に連れて帰る際、畑の生け垣がお茶の木になっている細い道を歩いたのだった。道に大きな水たまりが出来ていて、雨上がりの空を映していた。
どちらが言い出したかしれないが、水たまりにくっきりと映しだされている空を見て、「これは中に入ったら空に吸い込まれそうな感じだね」などと言いつつ、「除けて除けて」などと生け垣のお茶の木に体をこすりつつ通ったのだった。
ものの1分もたたないうちに、「なんか、痒い」ということになり、3分後に家に着いたときには、体中がどうしようもなく痒く、大騒ぎになってしまった。たまらず、風呂場に駆け込むと、首から二の腕から、ああ、そして股間も直視に絶えない状態になっているではないか。
友達は体を掻き掻き急いで帰っていったが、私は体中酷いかぶれで、翌日は首に薬をつけた包帯をグルグルに巻いて登校したのだった。
「ムチウチ?」などと問われる度に、「いや、毛虫」と答えるのにも辟易したのだが、強烈な体験だった。

茶毒蛾は照葉樹に巣くう。椿やら山茶花、茶、キンカンなどの柑橘類など、もしかしたら、ヒイラギなども危険かもしれない。
娘も何度か被害にあっているが、ここ3年くらい、温暖化のせいなのか、都内でも被害が急増しているらしい。
茶毒蛾にかぶれたら、払ったり、掻いたりするのは逆効果で、かえって毒素の強い微小な針があちこちに広がってしまう。ガムテープなどで患部から針を除去するのがベストらしい。

早速知り合いの造園業の人に消毒を頼んだが、予約がいっぱいですぐには来れないと。自分で薬を買ってやってみようかと思ったが、池袋だからして、ホームセンター的なものなどないのだ。薬局にも殺虫剤はあるが、造園用の殺虫剤などは売っていない。それに、近寄って葉っぱを裏返して毛虫に薬をかけることを考えただけで、なんだか体中がムズムズする。