遺跡へのヴァンダリズム

左目の乱視が随分なスピードで進行している。これも老化の一種だろうか?

一日中パソコンのモニタを見て仕事しているが、細かい文字を追うことは少ないので、モニタとの距離も70センチくらい離れている。これくらい離れていると、老眼用の眼鏡ではかえってぼやけてしまうので、普通に乱視の矯正用の眼鏡をかけて、近いものは老眼鏡で見ることになるわけで、なんともめんどくさい。最近、眼鏡屋で「近近」という眼鏡を試してみたが、これは違和感があってとても使えない感じがした。

巨石文化のポータルサイトWorld-wide Ancient Site Database, Photos and Prehistoric Archaeology News with geolocation : The Megalithic Portal and Megalith Map:に、英紙Timesの記事が紹介されていた。歴史遺産へのペンキやスプレーなどの破壊行為が急増しているという記事だ。その記事のリンクに合わせて、アイルランドのDruid's Templeというストーンサークルの岩にべったりペンキが塗られている写真が添えられている。
http://www.megalithic.co.uk/modules.php?op=modload&name=a312&file=index&do=showpic&pid=9416
街から少し外れたところにあるストーンサークルなどの遺跡は、夜中にガキどもが集まる格好の場所なので、何かとイタズラの対象になりやすいのだが、最近はイタズラなのか、それとも遺跡に対して何らかの強い関心をもつ人やグループが意図的に行っているのか、よくわからない破壊行為も少なくないようだ。
世界遺産でもあるエイブベリーの巨石も数年前に、ペンキで意味不明のシンボルマークを吹き付けた酷い被害にあっているし、ロールライト・ストーンズなどは真っ黄色のペンキで塗られ、今でも完全に除去できずにいる。しかも、二年前には管理小屋が放火され、全焼してしまった。この火災も、度を超した嫌がらせなのか、遺跡を管理していることへの反発から行われた、極端なグループによるものなのか、よくわかっていない。
イギリスには遺跡に対して独特な考えを持っているグループが多々ある。ロールライト・ストーンズでも、かつて「魔女」のグループが、遺跡の中でスパニエル犬を生贄にしていたことがあるし、アーサー王の時代のような装束で儀式を行うような人たちもいる。かと思えば、キリスト教原理主義のグループが「異教の施設」を破壊しようとしたこともあった。当の遺跡が実際どのような目的で作られ、使われていたかわかっていないのだが、極端な確信をもって接している人たちも多いので、管理小屋の火災も、もしかすると、「遺跡を解放」するために行われたのかもしれない。

ロールライト・ストーンズは魔女伝説や妖精にまつわる話が多い場所だ。その、フォークロアの濃さに応じて、ここが「異界への入り口」だと思って集まってくる人も多いわけだ。
個人的には、イギリスのバンド、トラフィックの曲「ロールライト・ストーンズ」で、名前だけは10代から知っていた。Pearly Gate, Opening Up the Skyと、ちょっと神秘主義的な薬味のある詞ではあるが、全体としては、「この遙か昔の人たちが残した石の列をぼんやり見ている俺たちって、何だろ?」というどこか所在ない感じで、自分が巨石を巡り歩いた際の感覚にも近いような気がしているのだが。