馬路村のゆず醤油

高知県在住の写真家竹内理能さんから、高知の馬路村のゆず醤油が届く。私はこのゆず醤油が大好きだということを知っていて、送ってくださったのだ。
彼が東京で仕事していたときは、随分と装丁に写真を使わせていただいてお世話になった。カメラのレンズに虫眼鏡をつけて、色の滲んだ独特なソフトフォーカスの花の写真を採り、モノクロ写真では、現像時に熱い湯水を使って、すぐに冷水で洗浄することで、フィルムの幕面を意図的にひび割れさせた、どこか版画のような仕上がりになる技法で枯れ葉や木の実を撮ってらした。この手法の写真の風合いが好きで、度々仕事にお借りしたのだが、数年前に郷里の高知に還られたのだ。
馬路村はゆずの里として、農協が地域ブランドの商品を出しているが、カツオ出汁が入ったゆず醤油「ゆずの村」は独特な甘みと香りで、これをカツオの生節とタマネギをあえたものにかけて食べると最高に旨いのだ。冷や奴にかけても旨い。このゆず醤油を知った頃、石神井公園に住んでいて、駅の南口にある豆腐屋さんの寄せ豆腐がとてもおいしいことを知ったので、一時豆腐とゆず醤油にもはまっていたのだった。
30代でゆずが旨いとか、豆腐が美味しいとか言うようになったら、もうダメなんじゃないか? という気分もあったのだが、抗い難い誘惑があり、随分と人に勧めもした。件の豆腐屋さんも健在で、今でも石神井公園に散歩に行くときは買うようにしている。


「ゆずの村」
https://www.shop.yuzu.or.jp/goods/goodslist.htm?num=01



落葉伽藍―武内理能作品集

落葉伽藍―武内理能作品集