土曜は日暮里から谷中を通って、上野まで散歩する。
日暮里の駄菓子屋の問屋街に行ってみたいと嫁が言うが、確か、随分前に再開発で立ち退きの話題があったはずだ。が、駅の地図にはしっかり載っているし、駅員に訪ねても、まだあるように言う。
行ってみたらば、やはりビルの建築現場であり、すっかり無くなっていた。
駅前のビルの二階にひとつだけ残っているというので、行ってみる。やはり問屋なので、量が多い。「妖怪けむり」(指で擦ると、モヤモヤ煙状の繊維が舞うやつ)を買いたいと娘が騒ぐが、ワンセット買うようなもんじゃない。谷中に駄菓子屋があったはずなので、そこで買えば、ということになったが、閉まっていた。
少し前に後楽園遊園地に隣接するビルの中の駄菓子屋に娘と入ったが、そこは圧倒的な品揃えだった。私は子どもの頃からそれほど駄菓子屋通いをしなかったので(近くになかったので)、さほど深い感慨はないのだが、びっしりと並んだ駄菓子、駄玩具(?)はなかなか壮観だ。

三崎坂の途中にある、アフリカの民芸品を売っている「アフリカ市場タムタム」に寄る。アカン族の分銅が並んでいて、これがなかなか面白い。
かつて金の取引に使われた分銅なのだが、動物を象ったもの、ピラミッド型のもの、卍などのシンボルを刻んだものなど、ヴァリエーション豊かだ。変な魚の分銅を買う。お店の人は「ナマズ」と言っていたが、これはノコギリザメじゃないだろうか。ちょっと調べてみようと思う。

上野公園は紅葉がちょうど見頃だった。
科学博物館のミュージアムショップに入るが、ここはリフォームされてから、メーカーの既成品が多くなって、だんだん面白くなくなっている。以前は貝や、海中生物のホルマリン漬けの標本、昆虫標本、カニの標本などがあり、なかなか面白かった。まぁ、恐竜のフィギアとか、卓上プラネタリウムなどに比べれば、売れないだろうなとは思う。今、こういう所に積極的に子どもを連れきて管理しているのは、ほとんどの場合母親なので、当然、カニとかナナフシは買わないだろう。虫が湧いたらどうするの? という感じだ。
だが、少しは古い博物館らしさも残してほしい。貝など、海辺の土産物屋で売っているような「詰め合わせセット」みたいなものしか置いていない。旧館部分もすっかり奇麗になって、懐かしいフーコーの振り子などもピカピカのものに替わっていた。
科学博物館だったか、国立博物館だったか定かでないが、小学生の頃に見た「干し首」のレプリカを見たときの衝撃が忘れがたい。当時は都民の日にカッパバッジを付けていくと入場無料だった。あのカッパバッジは何だったのか?
せっかく入ったが、特に面白いものもなく、帰ろうとすると、自然科学系の「ガシャポン」が並んでいる。そのうちの一つは、娘がどこかで「縄文人と縄文犬」を出してきたやつだ。おそらくラインアップの中で最も期待と遠いものが出て来たのだろうが、ひげ面が似ているとかいういい加減な理由で、無理矢理私の部屋にやっかい払いしたやつだ。みればこのガシャポンには「異常巻きアンモナイト」があるではないか。ちょっと心惹かれるものがある。
もう一度「縄文人」が出たらお前が飾れよ、と言うと、それはちょっと...とか言っていたが、娘にかこつけてやってみたらば、海の恐竜が出たのだった。やっぱり、科学博物館はガシャポンとかではなく、ナナフシの標本とか隕石で押し通してほしい。