原石を切る

久しぶりにメノウなどの原石を切る。
ウェブサイトLithos Graphicsを見た海外の人などから、原石を買わないかと、売り込みがある。全く面識なく、メールだけで売り込みに来る人に送金するのは、ギャンブル以外の何物でもなく、リスクが高い。
この春、間接的には購入したことのあるロシア人からメノウの原石を試しに5キロ買った。間接的、というのは、何度か取引したケンタッキーのメノウ屋がこのロシア人から仕入れた石を買ったことがある、ということだ。
とても値段の高いラフだったが、珍しい産地で、他に扱っている者がいないので、買ってみることにしたのだ。
支払って、送ったという連絡があって1ヶ月以上経っても、ロシアのメノウは届かない。これはやられたかなと思っていたら、「住所が間違っていたらしく戻ってきた」とのこと。なんだかんだで、送金してから3ヶ月近くもかかって届いたが、これがなんともおかしな状態だった。原石がいくつか樹脂の接着剤でくっつけてあり、それぞれの塊に安っぽい時計の文字盤が貼り付けてある。「こりゃ一体何です??」と問うと、ロシアではライセンスを持っていない者は鉱物の原石を輸出してはいけないのだそうだ。なので、石を使った飾り物、という体裁にして送っているのだと。
ラフの輸出を禁止している国は多い。近年は鉱物資源の希少性が高まっているので、なおさらだ。メノウはあまり相手にされていないのだが、例外にするほどのものでもない。鉱物は全て禁止、ということになる。
ラフは総重量が500グラムも足りないし、一見して非常に質の悪いもので、なんとも高い買い物になってしまった。切っても、模様があるものはほとんど無し。不足分の500gも送ってこないし、なんともたちの悪い売り手だった。

同時に、ここ1年ほどためていた、福島県宝坂の流紋岩の球顆を切ってみた。サンダーエッグだ。と言っても、大きさはドングリからせいぜいクルミ大なので、サンダーナッツとか呼ぶのが相応しいかもしれない。これらの球顆はたまにノーブルオパールが出ることで有名なのだが、閉山になってしまったので、ラフに結構な値段がついている。二十数個切ったが、半分は何も入っていなかった。後はコモン・オパールと玉髄が少し入っている程度だったが、ジェリー状の半透明のオパールが入ったものが一つ、かすかに少し遊色が認められるものが一つ! あった。ノーブルと呼ぶにはちょっと今ひとつだが。