『不思議で美しい石の図鑑』補遺2

写真を提供してもらった海外のコレクターたちから次々と返事が来て、おおむね好評でありがたい。日本語であるにもかかわらず、購入したいという人が何人かいるが、どうもうまく日本のamazonでアカウントをつくれないようだ。日本から海外のamazonでアカウントをつくるのはそれほど難しくない。amazonが世界中で店を出してまもないころ、どうしてもフランスのamazonだけで売っているピロスマニの展覧会のカタログが買いたくて、アメリカのアマゾンとボタンの位置などを比較対照しつつ注文したときはなんとも心もとなかった。今のように翻訳表示などができなかったのだ。


モリソナイトの写真を提供してくれたPhilip Stephenson が自身のオンラインストアで拙著を紹介してくれた。
http://www.rarerocksandgems.com/articles/masters/yamada/Yamada.htm
彼は良質なモリソナイトやウィロー・クリーク・ジャスパーを扱っていて、サイトには彼の素晴らしいコレクションを紹介した頁がある。ちょっと色を鮮やかにしすぎている面もあるが、良質なジャスパーを紹介するサイトは非常に少ないので、一見の価値がある。
モリソナイトは北米で最も「芸術的」な色と模様をもつジャスパーだといわれ、「ジャスパーの王様」とも呼ばれる。最も高価なジャスパーでもある。
欧米では今、ジャスパーなどの模様をトリミングして、絵として紹介しているウェブサイトやfrickrのアルバムなどが多いが、欧米でこうした石が原石のまま鑑賞の対象とされるようになったのは、比較的最近の話だ。どこか逆説的だが、抽象絵画が広く一般に受け入れられるようになってからだと思う。

モリソナイトの発見者であり、産地の地主であったジェイムズ・モリソン(ドアーズのジム・モリソンにちなんでつけられたと誤解している人もいるようだが)は独りで山間の小さな家で隠者のように暮らしていた、風変わりな人物だったようだ。オレゴンの山間地に最初に入っていた人たちはどういう人たちだったのか、モリソン氏はどういう経緯で天涯孤独になったのか、興味深い。
彼の数少ない友人の一人で、近隣の町で鉱物店を営んでいたダッドリー・スチュワートという人物に、1947年、モリソンが「山でこんなきれいな石をみつけた」と見せたことが、モリソナイトが採掘され、広く取引されるきっかけになった。ダッドリーがモリソンを感謝祭の晩に自宅に招いて泊めたところ、いつも硬い板のベッドで寝ているので、柔らかいマットレスだと寝つけず、結局外の木の下で寝た、など、モリソナイト発見当時のエピソードがStephensonのサイトで紹介されている。
http://www.rarerocksandgems.com/webfolders/RocksFossilsMeteo/morrisonite/morrisonitestorymaster.htm

現在、ダッドリーの息子が鉱物店を継いでいるが、モリソナイト発見当初、ダッドリーが個人的に秘蔵していたモリソナイトの一級品のコレクションが家のどこかにあるはずで、高齢ながら健在のダッドリーの妻だけがその在りかを知っている、と語っているという。
スチュワート鉱物店のオンラインショップは以下に。
http://www.stewartsgemshopinc.com/