『不思議で美しい石の図鑑』補遺3

安全委員会の斑目氏は本当にひどい。そもそもこの事故に関して最も責任を負うべき人たちが、誰一人責任をとらず、全く同じ体制でストレステストの評価をしているということが、信じがたい。しかも、事故後数日間の記憶がほとんど無いと言い切るような人が、未だにトップについているというのはどういうことなのか。


「風景石の謎」に掲載した、スウェーデングスタフ・アドルフ2世が所有していた「好奇心のキャビネット」は、現在ウプサラ大学の博物館に保存されている。16-7世紀の「驚異の部屋」と風景石熱についてはバルトルシャイティスの『アベラシオン』やカイヨワの『石が書く』に詳しく、ハインホッファーが造った好奇心のキャビネットに埋め込まれた絵入りの石の何葉かが『アベラシオン』に掲載されているが、全体像は載っていない。ハプスブルクのルドルフ二世も似たようなものを持っていたのではないかと思うのだが、リブロポートから出ていた『驚異の部屋』にも石関係のものは掲載されていない。どんなものなのか見てみたいとずっと思っていたが、昨年、ウプサラ大学のサイトに、キャビネットの全体が見られるインタラクティブなページがあることを知った。これは一見の価値がある。
http://konstskapet.gustavianum.uu.se/webb/index.html

四面の厨子だが、全体に瑪瑙、ジャスパー、フィレンツェの風景石・パエジナなどが埋め込まれていて、旧約聖書の場面などが石の模様の上にかき込まれている。無数の扉や引き出しを開けると、イエス像などの肖像画や、はさみや手鏡、化粧品のセット、タロットカード、指輪などが入っている。サイトでは細かな絵のディテールまでは見られず、それぞれの物の意味などは記されていないが、扉を開けたり、部分的にズームアップしたりでき、このへんてこりんな遺物の構造がよくわかるようになっている。
パエジナはひとつの面の最上部と引き出し式のテーブルに埋め込まれている。パエジナの絵柄を拡大した写真が無いか問い合わせたが、残念ながら無いとのことだった。面白いのは、ハープシコードの鍵盤がついていることだ。この形を見ると、ちょっと鳴るとは思えない。「天上の音楽」の象徴みたいなものだろうか。