下諏訪

法事と親類のお見舞いで、約20年ぶりに両親の郷里・下諏訪に行った。

写真館を営んでいた祖父が石好きだったとは聞いていたが、遺品にジャスパーや瑪瑙があるのを見て、これは血筋なのかなと....。
跡を継いだ80代の叔父は今、長野県の現役最長老の写真家なのだそうで、今でも仕事は全てフィルム、デジタルなんて全然ダメ!と、意気軒高だった。

帰りに「万治の石仏」を見る。万治3年(1660年)に造られた、ユニークな石仏だ。諏訪大社の下社・春宮の近くを流れる川沿いにある。
あまり手を加えていない自然石にレリーフを刻んだ胴体に、頭が載せてある。岡本太郎が「こんな面白いものは見たことない」と言ったことで広く知られるようになった。
五来重の『石の宗教』を読んで以来、一度見てみたいと思っていた。
明誉浄光 心誉広春という作者の銘があるが、この二人は作仏聖集団のリーダであった弾誓の流れをくむ僧であったようだ。五来重はさらに自然石のままの胴体の上に頭を載せるという形に「積石信仰」を見ていて、興味深い。




頭を固定するために心棒を入れたところ、凍結の作用かなにかで、首が上に伸び、「首が伸びる石仏」としてテレビで紹介され、今や下諏訪の観光名所になっているが、叔父たちの話では、昔は地元の人でも知らない人が少なくなかったようだ。子供の頃、川遊びをして石仏に服をかけて乾かしたり、首を回して遊んだりしたそうな。