電子書籍用に写真データを整理した。
印刷用にCMYK分解された画像では再現できない色域があり、よりオリジナルに近い色が出せるというのは、デジタルデバイスの強みでもある。ただ、印刷物と違って、どのような端末で見るかというところまでは全く管理できない。一般に事務用のモニターはかなり輝度が高くなっている。デザインのラフを画像で送ると、どうも相手がこちらで作った色とかなり違ったものを見ているらしいということがしばしばある。
これが電子書籍となるとタブレットや携帯で見るわけで、これらのディスプレイのキャリブレーション(色調、輝度などの設定)がどのようになっているのかはさらにわからない。ほぼ完全にデバイス任せだ。印刷物であれば、色が正確に再現されているかある程度の品質管理ができるが、デジタルデバイスはそのへんが実に曖昧で、いちいち見ている人の隣で、「これは色がかなり違っています」とか言うわけにもいかない。
さらに解像度ということでも現在のデジタル機器は少し前ものでは印刷物の半分の解像度ももっていない。今年の春に出たipadでも印刷物には及ばないのだが、不思議なことにデジタル機器で見ている分には、解像度の不足感がないのは、目が機器の表現の仕方に合わせた認識の仕方をしているからだろう。
ipadの解像度は一年で約二倍になったようだ。遠からず、印刷物の解像力を越えるかもしれない。


上はブラジルの瑪瑙、下は津軽の銀花石のディテール。どちらも手元のデータでは最大限の解像度だが、印刷物として耐えるほどの再現性はない。いずれタブレット機器などでも、より解像度の高いものが必要になるのだろう。