オーストラリア・ノーザンテリトリー旅行4

ナングルワーの岩絵を見た後は、近くのノーランジー(Nourlangie)ロック・エリアの岩絵を見る。ここにはカカドゥ国立公園だけでなく、オーストラリア全土でも最もよく知られた岩絵がある。
先ずはアンバンバン(Anbangbang)ギャラリーと呼ばれる場所の岩絵を。
ここの絵は最も新しい岩絵のひとつで、Nayombolmiという人が1964年以前に描いたものと、作者までわかっている珍しい例だ。
彼は一度岩絵を描いた後、故郷を離れて働き、晩年故郷に戻って再び同じ絵に手を入れたという(それが1964年とされている)。このことを初めて知って少なからずショックを受けた。てっきり数百年くらいは古いものだと思っていたのだが。でも、技法は数百年変わっていないとも言える。

かつてエーリッヒ・フォン・デニケンの本でこの絵は魚のような形の宇宙船から宇宙人が降り立った様子を描いたものだと紹介されていた。私が初めてアボリジニの絵を見たのもその本で、中学1年生だった。超古代ではなく、彼の本が出版された年のほんの少し前に仕上げられた絵だったわけだ。ちゃんと訂正してるのかなデニケン氏は。

頭に羽飾りを付けた細長い人物像は、脇の下に膨らみのあるのが女性だ。アボリジニの絵の多くは女性をこうした形で描いているようにみえる。
右上に白く足を開いている虫のように描かれているのは「雷の男」。
「雷の男」=ナマルゴン(Namarrgon)はこの地方の天地創造時代の物語の登場人物で、文字通り雷の精霊のような存在。その妻が左上に白い線で描かれているBarrginjで、二人の間に生まれた子はカカドゥにいる鮮やかな赤いバッタAljurrとされている。
中央上に大きく描かれているのはNamarndjolgという人物像で、彼は妹と近親相姦の禁忌を破ったため、ワニに変えられてしまった(誰に?)と、説明書きにあった。妹といっても血のつながった妹とはかぎらないようで、氏族の中で結婚できない関係がいろいろと規定されていたらしい。

これも同じ人物による絵で、Nabulwinjbulwinjという危険な精霊の絵。この精霊はヤムイモで女をぶっ叩き(!)、食べてしまうのだそうな。やはりアボリジニの精霊はかなり怖い。イモで叩くとは...。

これはすぐ近くのInclineギャラリーにある踊る人たちの像。


ワラビーも多く描かれる。





最後にアンバンバンの大きなシェルターを通る。絵は少ないが、大きな岩の隙間に出来た、かなり大きなシェルターで激しい風雨も凌げそうな場所だ。


イエロー・ウォーター川の夕日