オーストラリア再訪・前篇  ケアンズ、デインツリー国立公園、ケープ・トリビュレーション

昨年に続き、オーストラリアに、アボリジニの岩絵を撮影しに行ってきた。特に何かの仕事に結びつくわけでなないが、昨年カカドゥとアーネムランドで見た岩絵が大変印象深く、もっと多く、様々なものを見てみたいという思いにとらわれてしまった。
ブリテン諸島の巨石を撮影していたときと同様、少しずつ、まとまった形でウェブ上で紹介したいと考えている。
オーストラリアには紀元前30000万年くらいまで遡る岩絵の歴史があり、それが様々に形を変えながら白人との遭遇後も続き、最も新しいものでは20世紀後半まで残っていた。ひとつの岩壁に、一万年前に描かれた絵と、ほんの数百年前に描かれた絵が並んでいる、あるいは重ねて描かれているということも珍しくない。アルタミラ、ラスコー、ショーヴェなどと同じくらいの歴史的深さがあり、しかもそれが生きた芸術として数千年、数万年という時間の層を重ねたという点で、世界に類のないものだと思う。

オーストラリアは大陸なので見てまわるのは簡単ではないが、岩絵が集中しているエリアがあり、そのうちのひとつが今回訪れたクイーンズランド北部、ケープ・ヨークの付け根にあるLauraという町周辺だ。

昨年同様、Jet Starでケアンズに早朝に着き、そのままレンタカーで北へ移動し、デインツリー=Danetree国立公園に向かう。
私はアボリジニの岩絵を見るのが主目的だったが、家族はさほど興味をもっていない。特に娘は全く関心が無い。前半はゴールデン・ウィークらしく過ごし、後半は私に付きあってもらうことにした。岩絵の撮影だけなら私一人で行ってもいいのだが、娘は昨年のノーザンテリトリーで川で泳ぐ楽しみを知り、好きなインコやオウムがたくさん見られるということもあり、これまで訪れた外国の中ではオーストラリアが一番気に入ったようだった。

それにしても、オーストラリアは本当に物価が高い。宿はロッジで自炊にしたが、シュノーケリングやら熱帯雨林の木から木へロープで渡る「ジャングル・サーフィン」やら、何をするにも値段が高くていやになる。
世界遺産モスマン渓谷の川で泳ぎ、デインツリー村に泊まり、さらに北のケープ・トリビュレーションに連泊した。デインツリー村はデインツリー国立公園のど真ん中で熱帯雨林の環境が満喫できるかと思ったのだが、これがそうでもなかった。川で釣りやクルーズをするにはいいのかもしれないが、バード・ウォッチングのガイド、クリス・デールバーグ氏いわく、「この村は死につつある」と。売りに出されている店が複数あった。
クリス・デールバーグ氏の早朝バード・ウォッチング・ウォークはなかなか良かった。クルーズ・ツアーは鳥よりもクロコダイルが主目的になっているものが多く、あまり鳥好き向きではないと思う。デールバーグ氏のツアーはオンラインで予約できるが、確認のメールを送った方がいい。オンラインで予約を入れる人がほとんどいないため、彼が見落とす可能性があるからだ。我々がその最初の例になってしまった。
http://birdwalk.daintree.info/


ケープ・トリビュレーションは海と熱帯雨林の両方が楽しめ、人もさほど多くない、大変いい場所だ。宿泊したロッジFerntree Rainforest Lodgeも値段の割にとても良かった。


ただ、綺麗な海があると言ってもオーストラリアは簡単に海水浴はできない。ワニがあちこちにいるからだ。グレート・バリアリーフも沖合いにあるので、船で連れていってもらわないと泳げないのが、なんとも不便ではある。沖縄のように浜からそのままサンゴ礁の海に、というわけにはいかない。

ケアンズの少し北にあるリゾートの町ポート・ダグラスからスクーバ・ダイビングのツアーにも参加し、3本潜ったが、さすがにサンゴ礁の規模、魚の大きさなど、大変ダイナミックだった。ただ、残念ながら少し透明度が低かった。一番良いのは乾期の終わり頃らしいが、海水温が低く、気温は逆にとても高いようだ。それに....やはり沖合いまで船でかなり時間をかけて出て行くので、値段が高い。とてもじゃないが、何度も参加できるような金額ではなかった。

デインツリー村とケープ・トリビュレーションに宿泊して、良かったのはバード・ウォッチングシュノーケリング。いまひとつだったのが、ケープ・トリビュレーションのナイト・ウォーク。これは夜の熱帯雨林を歩き、夜行性の動物などを見るという趣旨だったが、動物は全く見られず、植生の説明に終始した。かつて石垣島コスタリカで参加したナイト・ウォークがとても面白かったので、期待していたのだが、かなり期待外れだった。「とても重要な生き物を見せますので、ちょっとみなさん明かりを消してください」と言って、スポットライトを当てたのがゴキブリだったときは軽く怒りを覚えた。

ここでGWらしい日程は終了。