オーストラリア・キンバリー旅行2日目

ダーウィンからWestern Austraria 地方の北岸の町Broomeへ。ここは明治時代から戦前まで、日本人の真珠採りが大勢いたことで知られている。家族で住んでいた者も多く、コミュニティーができていた。
真珠採りは重い潜水服を着て潜る過酷な仕事で、溺れたり潜水病で命を落としたものも少なくない。日本人墓地がある。戦中は日本軍による爆撃をうけている。

Britzというオーストラリアで有名なキャンピング・カーと4WDのレンタルカー屋で車を借りる。ハイ・シーズンの車は半年前くらいから予約でいっぱいなので、私も随分前からネットで予約を入れておいた。
Safariという、ランドクルーザーを改造して、後ろに冷蔵庫と水のタンクがついているもので、かなり古いタイプにみえる。カセットコンロが二つ、食器、調理器具一式が収納庫に入っている。これにテントを加えて「簡易キャンピングカー」というわけだ。

尖った石やブッシュの火で焼けた木の枝などで結構頻繁にパンクすると聞いていたので、「スペアタイヤ一つで大丈夫だと思う?」と聞くと、「修理屋に着くまでに二度続けてパンクするという不運はあまりないと思うけど、心配だったらもうひとつ積んでいくか? 1万円だけど」と言われる。チャトウィンの『ソングライン』にも、スペアタイヤは二個積んで行く、と書いてあった。修理を待つのも辛いので、もう一つ屋根の上に積んで行くことに。
衛星電話も借りる。携帯はほぼ圏外なのだし、公衆電話などほとんど無いにきまってるのだ。
一番驚いたのは舗装道路からラフロードに入ったらタイヤの空気圧を変えろと言われたことだった。そんなもんなのか。知らんかった。さらに、砂っぽい所に入ったら空気圧を半分くらいにせよと。そして、舗装道路に戻ったらもう一度空気を入れ直せ、ということで、車のバッテリーにつなぐ簡易空気ポンプを渡された。なんて面倒くさいんだろう。
「あと必要なのは虫よけスプレーだな。スーパーでBushmanというのを買うといいよ。他のは効かないからね。他に何か質問ある?無い? じゃ、いい旅を、いってらっしゃい!」と、坊主頭のレンタカー屋の男に送り出されたが、ホテルに戻って、寝袋が積まれてないことに気付き、慌てて戻る。「ゴメンゴメン」と坊主頭氏。このまま気付かずに出発してたらキャンプ場で悲惨なことになっていた。

物価の高いオーストラリアだが、4WDのレンタルは本当に高い。保険やらいろいろつけると1日4万円くらいする。これでキャンプをしたからといって、決して安い旅にはならない。有名な格安キャンピング・カーレンタルのチェーン店もあることはある。Wicked Camperというのが有名だ。全裸で来た人には激安で貸してくれるなど、おかしなルールがいろいろあることでも有名だが、かなり痛んだ、あるいは整備不良の車を貸していて事故が絶えないと、事故死者の家族などが抗議していることでも知られている。
岬の先端に行ったとき、隣にWickedの4WDがあり、ボディーに「僕って、過小評価されてるんだよね。ーーby ジョージ・ブッシュ」と似顔絵とともにペイントされていて、これは結構可笑しかった。Wickedの車は派手なグラフィティ風のペイントが全体にされている、ギンギラギンのものもある。「俺たちみんな地獄行き」と書かれたものも見た。実際事故が多いんだから、全く洒落にならない。

Broomeの岬の先端に恐竜の足跡の化石が残っている場所があり、干潮時にみられるというので、行ってみたが、残念ながら干潮が早朝と日没後だったので、見られなかった。岬の上にコンクリート製のレプリカがある。ミルフィーユのような堆積岩がばらばらに砕け落ちている不思議な地形だった。

夕方に大きなスーパーマーケットに行き、食料と水をしこたま買い込む。
それにしても物価が高い。倹約して自炊しても、おそらく日本のファミレスで外食するより高くつく感じだ。
移動がきついので、キャンプは結局4日に縮めたが、昼食を食べる場所が無い所が多々ある。お弁当も必要だ。長いのでどれくらい食材を買えばいいかちょっとぴんと来ないのだが、Gibb River Roadに入るとおそらくちょっとした売店程度のものしか無いので、できるだけ持っていくしかない。日もちしそうなパン、ハム、チーズ、調理済みのカレーやチキンなどを買う。日本から米と餅、レトルトのカレーなどをもってきた。レトルトはオーストラリアにはあまりない。調理済みの要冷蔵のものか、電子レンジ対応のものくらいだ。
ボトル・ショップでビールもがっちり買う。冷蔵庫がついているのはすごいことなのだ。
餅は重いが、保存もきくし、なかなか便利なのだ。