オーストラリア・キンバリー旅行13日目

この日はHalls Creekから出発地のBroomeまで一気に650キロ走るしんどい日だ。しんどいのは仕方ないとして、道が単調なので居眠りが心配だ。コーヒーを作って、ユンケル顆粒を飲んで臨む。前々回、ハイウェイで一瞬カクッとなるという恐怖を体験していたので、あらゆる手を講じたかった。

途中、あちこちで煙が上がっている。下草を焼いているのだ。これはアボリジニがずっと行ってきたブッシュの管理法で、小規模なエリアを少しずつ燃やすことで、乾期の終わりに大規模な山火事にならないようにコントロールし、狩り場を維持してきた。白人が入植した後、一時的に禁止されたが、意味があることを知り、再び行われるようになった。オーストラリアは落雷も多く、山火事が多い。初めてこの大陸に渡ってきた人間も、おそらくインドネシア付近で、海の彼方に上がる煙を見て、陸の存在を知ったのではないかと言われている。


走り疲れて、休憩場でどんよりしていると、60代半ばくらいの男性が近寄ってきて、「楽しんでるか? そうか、じゃあ何故もっと楽しそうな顔をしないんだ? ん?」と。長い運転で疲れてるンです。
「私はリタイアして、あの車とトレーラーを買って(車でひっぱる部屋みたいなやつ)、半年くらいのつもりで旅に出たんだけど、気付いたらもう4年も旅してる、楽しい」と。
いいなぁ。日本人の男は定年退職したらやることないから、ともかく何でもいいから働き続けたいという人がいる。私には信じられない。

ブルームまで200キロを切って、なんとか居眠りせずに行けそうだぞ、と思っていたら、なんと、出発した日に点いた機能不全の警告灯が再び点灯。何なんだよ、この車は! しかも行きに点いたのと同じような場所で。
携帯の電波が入る所まで近づいて、Britzに電話。「また点いたよ。どうなってんの?」というも、例の坊主頭くんは「えーと、ここでは何も対処できないので、メカニック・サービスに電話して。キーに番号あるでしょ」という。「まだちゃんと走ってる。そっちに持っていくから」というと、「今日はそろそろ閉店なんだよね」と。10日ほどの間に二度も機能不全になるような車を貸してしまってスンマセン、来るまで待ってます、とか言えないのか坊主頭くん。
じゃあ、明日の朝一番に持っていくから、代わりの車を用意しておいてよね、ということで、なんとかブルームの宿に到着。まったく油断できない。

でも、なんとか事故もパンクも無く走りきった。総走行距離約3500キロ。