オーストラリア・キンバリー旅行14日目

朝、ブルームのBritzに行く。坊主頭くんは「代わりの車も用意してある」という。よし。

ところが、坊主頭が奥に引っ込んで見えなくなって、かわりに出てきた女性のマネジャーが「近くの修理工場に持っていってくれない?」というではないか。
「それは困る。異常が出るのはこれで二度目で、これ以上時間を無駄にしたくない」というと、「10分、10分で済むから。10分でダメなら代わりの車を出すから」という。
仕方なく近くの修理工場に。10分で終わるはずもなし。20分くらい経って、「あの〜、まだまだ時間かかるの?」というと、修理屋の主人が意地悪い笑みを浮かべながら、「えぇと....今日は金曜だから....」と指折り数えるしぐさをして、「うそうそ、今終わったよ」とキーを返してきた。いい性格してる。
結局、故障ではなく、警告灯の誤動作とのこと。
「何も悪い所がなくて、警告灯が点くことがある。逆に悪い所があっても、警告灯が点かないこともある。ま、いろいろだね」と。冗談じゃない。ただ、こちらの4WDショップなどあれこれ見ていて思うのは、ラフロードのエリアにいると、日本のように、「あ、調子悪い、トヨタのあの人に電話しよ」的な感じは通用しないということだ。今回、おかしな兆候が出たのはいずれも大きな町の近くだったからすぐに持っていけたが、そうでなければ騙し騙し運転するしかなかった。とりあえず動くからいいか、くらいの気持ちでないと神経がもたない。

Britzに戻ると「あぁ、よかった」と女性マネジャー。代わりの車を出さなくてほっとしている。それにしても、「ゴメンナサイ」がないな。坊主頭はどこに行った?
キャンプ道具はもう必要ないので、降ろしていく。坊主頭が強く勧めた虫よけスプレーBushmanも、結局蚊がほとんどいなかったので、高いものを2本も買ったのにほとんど使わなかった。「これ、誰か使うかな?」と女性マネジャーに聞くと、「あ、それはXX(坊主頭の名前)ね。彼、それが好きなのよ」と。「必需だね」とか言ってたけど、個人的な好みの問題なのか?「蚊はほとんどいなかったよ」というと、「XXは蚊に好かれているから、彼の周りにはいるのよね」とか。もう坊主に買い取って欲しかった。
他に何か問題あった?と聞かれたので、後の扉がいちいち体当たりしないと開かなくなった。テントの説明書が全く使えなかった。蛍光灯が一日目に切れた、と列挙。「うんうん、なるほどなるほど....」。「ゴメンナサイ」が無い!

さて、あと半日、ブルームで過ごす。夜、飛行機でダーウィンに飛ぶのだ。
先ず、日本人墓地へ。ずいぶん綺麗に整備されている。よく見ると「笹川良一氏のご好意で」というパネルが。かーっ。
和歌山県南部、愛知県、愛媛県、いろいろな出身地がある。20代で亡くなった者も少なくない。大きなサイクロンで死者が大勢出た年もあるようだ。

海岸に出てみると、赤い鳥居が立っていた。誰がいつ建てたものだろう。

次に歴史博物館に行く。
真珠採り産業の歴史もよくわかる。日本人をはじめ、中国人、インドネシア人など、東洋人主体であった真珠産業を、白人のものにし、東洋人を締め出そうと試みたことがあり、これが政策的な白豪主義のはじまりだったというような記述があった。結局、白人は真珠採りにうまく順応できなかったようだ。1920年代の盆提灯を飾った墓地の写真があった。

日本軍による爆撃についても細かな説明があった。これがブルームの「一日の戦争」だ。女性や子どもを含む約100人の死者が出たとあった。

アボリジニの古い写真も非常に興味深かった。この装束、頭飾りは何だろう。まるで昔のラジオのアンテナだ。

レンタカーを返しに行き、タクシーを呼び、女性の運転手に「この近くで貝拾いができる場所はないですか?」と尋ねる。博物館に見事な貝殻がたくさん展示されていて、ブルーム産とラベルされているものが少なくなかったからだ。結局、一番有名なケーブル・ビーチを紹介されて、半信半疑ながら行ってみることに。実はその海岸は一度初日にちらっと寄っていたのだが、あまり貝が拾えるようにも見えなかった。
行ってみると、平日のビーチは静かなものだ。初日は日曜だったので、車で一杯だった。
探してみると、たしかにタカラガイがいくつか拾える。摩耗しているが。
サンゴの化石が小石状になってあちこちに落ちていた。

夜、ダーウィンに飛び、翌日はさらにケアンズに。これでキンバリー旅行は終わり。慌ただしい旅だった。やはりあと二日は欲しいコースだった。