スラウェシ島探訪3日目

 ドリスの親戚の家に泊めてもらった翌朝、子供たちが学校に登校する時間に我々も出発することに。インドネシアは見たところ、高校まで制服があるようだ。昨夜は歌を歌ってくれたので、お礼に折り紙をいくつか作って渡した。男の子はどうやって折られているか調べようとしてすぐにほどいてしまう。

昨日来た道を引き返し、Posoを通って、Tentenaのホテルに向かう。途中Posoの海岸にちょっと出てみたいと頼むが、上手く停められる所がなかったのか、叶わなかった。私が見たところ、どこからでも出られそうだったが、どうもグナワンはポソに長居したくない風だった。「市場を見てみたい。特に魚売り場が見たい」と頼んでも、「うーん、ちょっとそれは難しい....」というおかしな返事。時間はたっぷりあるはずなのだが。彼はポソが嫌いで早く通過したいのか、昨日からずっと運転し通しだったので早く帰りたいのか。
結局、ドリスがグナワンに「海岸か市場かどっちか寄りなさいよ、寄りたいって言ってンでしょ」と強く言ってくれたようで、市場に寄らせてくれた。

海外の市場をぶらぶらするのは楽しい。入ると拡声器でまくし立てる女の声が響き渡っている。近づいてみると鰐の頭骨を前にあれこれ言っていて、どうも男性用の強壮効果があるということらしい。スッポンの粉末みたいなものか?

魚売り場は面白い。日本ではあまり見かけないアジやタイっぽい魚もある。干物も。




湖のほとりの町、テンテナに着いたのは午後3時くらいだった。ポソ湖は水深450mと世界で26番目に深い湖のようだ(田沢湖が425mで30位と初めて知った)。ウナギが採れ、日本にも輸出されているという。数年前、萩原さんという若い魚の研究者がヴィクトリー・ホテルに長期滞在したらしい。ドリスは「私の日本の息子」と呼んでいた。萩原さんが巨大なウナギを抱えている写真を見て仰天した。こんな巨大なウナギがいるのか。調べてみたところ、北海道大学に在籍の方のようだ。

少し時間があるので付近を散歩することにした。宿でドリスの娘ノニに、ここではコウモリと犬の肉が珍しいから、屋台で試してみたら?と言われる。誰もが食べるわけでもないようだが、行ってみた。コウモリはオーストラリアにもいるフライング・フォックス、鼻の長いフルーツを食べるコウモリと同じだ。細かく刻んでかなり濃く辛く味付けされていたので、肉そのものの味はなんだかよくわからなかった。左はフライド・チキン、右はコウモリの肉。犬はちょっとやめておいた。翌日市場で売られているコウモリを見たが、これがなんとも恐ろしい形相で、おそらく生きたまま羽を切っているのではないかという代物だった。

宿に戻り、ドリスに昨日見た石の場所、謂れなどを話してもらう。ノニに通訳してもらい、ビデオに残した。ドリスもノニも日本でよく見るような顔をしている。とくにノニは沖縄にいそうな顔だ。石像にまつわる話は全て民話のようなもので、悲恋の王女と村の男性、とか、無理やり王様の側室にさせられた女の子、とか、実際の歴史とはあまり関連が無さそうだったが、面白かった。彼女はこうした話を村の長だった祖父から聞き、祖父は祖母から聞いたと言っていたそうだ。今は誰もが知っている話ではないかもしれない。

夜になるとグナワンが「ちょっと珍しいものを見せてやろうか」と、ニヤニヤしながら持ってきたのが、なんと猿の胎児を漬け込んだヤシ酒の瓶だった。「なかなか手に入らないんだよ、猿の胎児は」。そうでしょうね.....。「これは15年、こっちは30年ものだぞ」と。これも滋養強壮に云々ということらしいが....。私の反応を見て喜んでいたグナワンだったが、「ちょっと飲んでみるか?」と言わなかったところをみると、かなり大切にしているに違いない。彼は狩猟もよくやるようなので、もしかすると猿の胎児も自分で狩ったものかもしれない。様子を想像するとちょっとげんなりしてしまう。