タッシリ・ナジェールの旅 8日目

 セファールは壁画が最も多く集まった場所だ。白いセファール、黒いセファールの二つのエリアにわかれている。全て回ろうとしたら数日かかるのだろう。アンリ・ロート隊の詳細な地図があり、場所を特定することができる。このエリアはまるで道路と建物のように碁盤の目状に侵食されていて、通りと番地がつけられるような感じだ。ロート隊の地形図が現在Google Earthなどで見るものと比較するとかなり正確であることに驚く。

Sefar

先ず、北側の「白いセファール」と呼ばれるエリアに。

セファールといえば「白い巨人」だが、同じような、両手を広げた大きな像は他にもいくつも描かれている。手に錫と何か持っているものも。この像は両手を上げて祈るようなポーズの人たちとセットになっていることがほとんどのようなので、やはり一種の神像なのだろう。

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前日に見たのと同じ、丸い頭の人物像と丸い形がセットになった絵もあるが、面白いのはその足下に描かれた小さな人(?)たちだ。

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この両者は線の感じからしても同じときに描かれたようにも見える。そして、小さな人たちの右端には中くらいのサイズのよくわからない生き物が。これは何なのか。この大きさの対比は彼らが描いているもののサイズ感を正確に表しているんだろうか。Round Headの時代の絵はよくわからないものであふれていて面白い。

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そして、いよいよ「白い巨人」と対面する。サイズは英さんの等倍の写真パネルで見ていたが、やはり迫力ある。壁面が少し覆いかぶさるようなカーブがついているので、なおさら大きく感じるのかもしれない。この巨人のまわりに描かれたものもまた面白い。両手を上げて祈るようなポーズの人たちには乳房がついていて、右側に横になって浮遊するように描かれている人物はお腹が大きく膨れているので、多産のシンボルなのではという見方もあるようだ。

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白い巨人も不思議な姿なのだが、他にもRound Head時代の不可思議な大きな絵がいろいろある。頭部が光っているような人物像。ミッキーマウスタイプの像は体が二色に塗り分けられていたりして、バハ・カリフォルニアの壁画を思い出す。顔がハート型になっているものや花形になっているものも。横に細長く延びた人型のものも複数描かれていた。



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アンドラスなど、何度も来ているのだろうが、それでも初めて気付く絵もあるようで、この場所は細かく見ていったら何日かかるかわからない。

キリンが描かれたパネルがあり、分厚く重ね描きされているのだが、弓で戦う人たちの絵がある。乳房がついているので、女性たちの戦闘シーンらしい。「アマゾネス」とも呼ばれている。

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これなど人物が渾然一体となっているが、誰かが後からアウトラインをとったものかもしれない。

首の無い人物像もある。

 

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午後は南側の「黒いセファール」エリアに。その名のとおり、黒い絵が多く、北側に比べるとRound Headの時代のものは少ない。ダイナミックな動きのある絵が多い。走りながら弓を射るひとたち、大規模な戦闘シーンなど。

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目に白いマスクのようなものをしている女性像も印象的だ。手に持っているのは何だろうか。ロート隊の複写のキャプションにも「オブジェ(?)」としか書いていない。この絵を見ると、腰に巻いているものは後ろに垂れているというより、左右に分かれているようにも見える。

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頭飾りや足にタッセルのようなものをつけて着飾った人たちが踊るような絵もある。オーストラリアのグィオングィオンを思い出す。

 

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この日は盛りだくさんだったが、欲をいえばもう1日多くセファールで時間をとって、壁画もゆっくり撮影したかった。多人数で次々と巡ると、どうしても慌てて撮る感じになり、後から後悔することになるのだ。

 セファールの中だけ移動したわりには16キロ以上歩いた。

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