タッシリ・ナジェールの旅 12日目

 タッシリ・ナジェール最後の日。10日間、ただひたすら歩き、写真を撮りの繰り返しで一日があっという間に過ぎていった。もうちょっとのんびりする時間もあってよかったような気もする。ロバも今日一日荷物を運んだら、ようやくお役御免だ。水や食糧もほとんど無くなったからずいぶん楽になったに違いない。それにしても、ロバはどうしてこう悲しげな目をしているのか。

Jabbaren

途中、Tin Taharinというサイトに寄る。ここにも仮面の人物が描かれているが、体にいろいろくっついているようで、手先も不思議な形になっている。どういう装束だったんだろうか。

Tin Taharin

Tin Taharin

Tin Taharin

Tin Taharin

虫の絵があるのも珍しかった。なんだろう。トンボかバッタか。麓のTadrartには赤とんぼがいたが、数千年前にどういう昆虫がいたかわからない。トンボは乾燥などに強い昆虫なんだろうか。パタゴニアの乾き切った塩湖にヤゴの死骸がたくさん落ちていたことを思い出した。

Tin Taharin

Tin Taharin

 

 麓まで一気に下っていく。なかなかの絶景だ。ずっと雲一つない晴天だったが、前日くらいから少しずつ雲が出てきた。麓近くなると、岩も堆積岩から花崗岩に変わり、水晶の脈が入っている。

迎えの車を待ち、ジャーネットの宿に戻った。深夜の飛行機でジャン・ピエールとマグダレーナとともにアルジェに飛ぶ。残りのみんなは後半のツアーがある。これは4年前に私が参加したものとほぼ同じルートだ。後半から参加する人も数人いるらしい。マグダレーナはイスタンブールで金融関係のクライアントと会議とのこと。

帰国前、部屋で荷造りをしていると同室のハンスが「君は私にとんでもない話をしてくれたね」と。何のことかといえば、スラウェシ島に人間の絵が書かれた壁画があるということについてらしい。ずいぶん前にスラウェシ島で壁画を見たらしいが、そのときは人間の絵はなかったと。「行かねばならなくなったではないか」という。彼は人間が何かしている絵に興味があるようで、見事な絵でもテーマが違うと「Not for me」といって、あまり関心を示さない。重要と思われる絵はライカの一眼レフ(フィルムカメラ)で撮影する。おそろしい83歳だ。

 

 

道中、コロナのことなどすっかり忘れていたが、成田に着いたとたん、「アプリは入ってますか?無い人はこちらに並んでください」と大声で誘導する係員が大勢いて面食らった。別世界だ。ワクチン接種証明書だけじゃダメなんですか?と問うと、ダメです、と。アプリを入れて、何便の飛行機のどの席だったか入力するようになっている。もう濃厚接触者の調査なんてしてないのに、形だけこういうことが残っているというのも日本らしい。