カザフスタン・キルギス壁画撮影行 その10

かなりの時間寝たが、やっぱり具合がよくならない。高山病の症状が出ると、一度は高度を下げなくては治らないというのは本当のようだ。それにしても3100メートルでこんなになるとは。風邪も思った以上にやっかいだった。

馬が来る昼頃まで、再び撮影に出る。昨日光線のかげんでうまく見えなかったものも時間が異なるとくっきり見えるものがある。

馬が来た。前髪にネギ坊主やアザミなど、ひっつき系の植物の実がついていて、なんだか飾りのようになっているのが面白い。このへんは細いネギの仲間がたくさん生えているが、まさかネギ坊主がひっつき系の木の実だとは思わなかった。

 

 

馬での下りは衝撃が腰に響いてけっこう疲れる。また、馬使いの彼がサービスだと思うが、少し早くしてみようかと、小走りになるくらいのスピードを要求するので、調子悪い私にはそれなりにしんどかった。が、登山口まで降りてしまうと、足に力が入らない症状は確実におさまってきた。もう少し体調の良いときにきて、この環境を満喫したかったが、仕方ない。これもまた3000メートル級の山の上の壁画群という特殊な環境ならではだ。

登山口まで降り、荷台に馬を乗せて馬使いの彼は帰っていった。

 

 

カザルマンの町まで降りると、エリカが医者に寄っていこうと。え?医者? いくらかかるんだろう...。でもまぁ、風邪もよくなってないし、薬でも出してもらおうか。

症状を説明してもらって、点滴をうった。体力が落ちていたのでおそらく栄養剤だろう。がっちり太ったおばちゃんの看護婦に「ほら、動くと点滴の液が落ちていかなくなるから。動かない!」と叱られる。

結局医者は点滴を処方しただけで、風邪の薬は出してくれなかった。

当初の予定ではこの日の夜もキャンプして翌日山から降りてそのままビシュケクまで戻るというかなりハードなスケジュールだったが、イスラムの宿に戻ってゆっくり休んだ。