2023-01-01から1年間の記事一覧

タッシリ・ナジェール壁画紀行 その16

グループと別れて、この日は英さんと日帰りツアーに出る。タッシリ・ナジェールで行きたいと思っていた場所はだいたい行けたのだが、周辺にはまだまだ見たい場所があった。特にTin Taghirtの刻画はこの地域を代表するものの一つなのだが、アンドラスのツアー…

タッシリ・ナジェール壁画紀行 その15

タッシリの台地を降りる日。昨年上がった道を下る形になるのだが、ラクダが降りるには急すぎるので、ロバに荷物を積みなおす。ラクダたちよ、ありがとう。 しかし、やはりロバの目にじっと見られると、「すみません...」という気持ちになるのだった。 標高17…

タッシリ・ナジェール壁画紀行 その14

Tan Zumaitakにキャンプし、早朝から再び見事な壁画のある大きなシェルターに向かう。壁面は太陽と反対方向に向いていたので、かなり暗かったが、一部穴が空いているところがあり、そこから光が入ってきて、だんだん全体がいい色になってきた。 三脚を持って…

タッシリ・ナジェール壁画紀行 その13

幸い、寝て起きたら、かなり体調が良くなった。 朝食時、テントをたたんでいた英さんが「サソリだ!」と大きな声を上げる。見に行くと、大きな黒いサソリがクモをくわえている。砂のような色のサソリは前に見たが、こういう色の大きなものは初めて見る。皆で…

タッシリ・ナジェール壁画紀行 その12

この日はOuan Benderにキャンプをはったまま、エリア内を探索する。体調悪いので、移動距離が少ないのは助かる。 Ouan Benderにはあまり背の高い岩はない。テントをはった場所は下部が大きく削れて、長いひさしがせり出したような形の場所だ。雨除け、日除け…

タッシリ・ナジェール壁画紀行 その11

Tin Tekeltを出て、Ouan Benderに向かう。 途中動物学者のクーンが大きな声をあげた。チーターの足跡があると。雨が降ったことで土が柔らかくなって、くっきりと残っている。しかも並んで二頭歩いた形跡が。親子ではないかと。 チーターはアルジェリア南部全…

タッシリ・ナジェール壁画紀行 その10

キャンプを出てさらに南へ。 昨夜の雨であちこちに水たまりができている。サハラは全体に雨量が増えているということだ。連日雨が降って、日中水分がまた蒸発して雲が湧いて...という循環になっている感じだった。日本の夏?と見まがうような入道雲風の厚み…

タッシリ・ナジェール壁画紀行 その9

3泊したTissoukaï のキャンプをたたみ、この日から3日かけて南のOuan Benderへ向かう。歩く距離が長いため、ガートルード、ヘルムート高齢夫妻はラクダに乗ることに。ラクダはかならずしも乗り心地はよくない。縦に揺れるし尻も痛くなる。 しばらく行くと、…

タッシリ・ナジェール壁画紀行 その8

Tissoukaï の壁画探索の最終日。この日から、飲み水はタッシリのゲルタ(水たまり)ですくった水に消毒薬を入れたものになる。ボトル入りの水、ジャーネットのオアシスの水がほぼ尽きたからだ。昨年も最後はゲルタの水を飲む可能性があったが、ぎりぎり飲ま…

タッシリ・ナジェール壁画紀行 その7

この日もTissoukaï エリアで壁画の探査を続ける。西側のエリアに向かった。昨日からアンリ・ロート隊の複写60-71番の絵を探してきたが、地図にロートが記した場所では見つからなかった。これが記録と全く異なる西側のエリアで見つかる。その場所は地図には60…

タッシリ・ナジェール壁画紀行 その6

Techekalaouenのキャンプをたたんで、東のTissoukaï へ向かう。今回の旅の主な目的地だ。距離はそれほどではない。 Tissoukaï は1960年のフランスのアンリ・ロート隊の詳細な記録があり、個々の壁画の場所もほぼ特定されている。岩山が連なる場所は格子状に…

タッシリ・ナジェール壁画紀行 その5

Techekalaouenのキャンプはそのままに西のOuan Mellenへ向かう。 昨年見たかどうか定かでないが、白い小さなユリのような花があちこちに咲いている。ごく小さな草花は何種類か咲いているのだが、こうした大きなものは他に無い。全てがカサカサでトゲトゲのガ…

タッシリ・ナジェール壁画紀行 その4

ラクダの口の中はどうなってるんだろうか。砂漠は鋭く長いトゲのある草や木だらけなのだが、平気でバリバリ食べている。 日程を見直した結果、この日に見る予定だったOuan Mellenではなく、Techekalaouenという場所に連泊でキャンプをはることに。今回の旅の…

タッシリ・ナジェール壁画紀行 その3

この旅は、夜明けとともに起床、朝日が昇ったら朝食、6時半までに荷造りしてラクダが積めるように、というルーティンだ。この日も5時半くらいに起き、荷造りをした。今回は雨が降るかもというので雨具を持ってきたし、ソーラーパネルも持ってきた。このため…

タッシリ・ナジェール壁画紀行 その2

アルジェリア着の翌日、午後に宿のあるジャーネットを出て、タッシリの台地への登り口であるAkba Assakoまで自動車で行き、キャンプする予定だったが、数日前に降った激しい雨で道が流れて車が通れなくなったとのこと。Akba Assakoまで行くことができなくな…

タッシリ・ナジェール壁画紀行 その1

10月5日の夜に成田を発つ。いつものエミレーツ航空のドバイ経由で、ドバイからはアルジェまで英さんと同じ便だ。ドバイは相変わらずギラギラで、ブランド品のショップや欧米のチェーン店ばかりで全く好きになれないのだが、このルートが一番安定感があるので…

タッシリ・ナジェール壁画紀行へ

昨年に続き、今年も明日からアルジェリアのタッシリ・ナジェールの台地に赴く。昨年と同じ、The Libyan Desertの企画で、昨年もご一緒したサハラの壁画を日本人で最も多くカメラにおさめてこられた英さんも参加される。 今回は昨年巡ったコースよりも北のエ…

ユタ・アリゾナ壁画紀行 12日目

最後の日、16時半にレンタカーの返却だが、計算では3時間くらいは余裕がありそうなので、もう一度ペトリファイド・フォレストに入る。園内に「アゲートハウス」という、珪化木で作られた先住民の住居跡があるのだが、昨日は通り過ぎてしまっていた。 アゲー…

ユタ・アリゾナ壁画紀行 11日目

この日に行く大きな木の化石がごろごろしている砂漠、ペトリファイド・フォレストはペイジから東約380キロの場所にある。さらに翌日はラスベガスに戻る必要があるが、この移動距離が600キロにもなってしまう。たいへんだが、決めた以上は仕方ない。 東へ向か…

ユタ・アリゾナ壁画紀行 10日目

ペイジはアンテロープ・キャニオンという岩の回廊の近くの町として知られる。岩のカーブと中に差し込む光とが作り出す造形の美しさは近年広く知られるようになっていて、現在はツアーでしか入ることができない。私もこの日の11時過ぎに予約をして、日にちや…

ユタ・アリゾナ壁画紀行 9日目

朝早くコーテズの宿を出て、メサ・ヴェルデに再び入る。メサ・ヴェルデはかなり標高が高く車で上がっていくとどんどん霧が深くなっていった。これは上で何も見えないのでは? この日は朝一番早いツアーで崖沿いの最大の住居跡「クリフ・パレス」と、「バルコ…

ユタ・アリゾナ壁画紀行 8日目

前夜はかなりの強風でテントのフライが飛びそうだったが、翌朝は気持ちよく晴れた。せっかくなのでもう一度シーニックロードを走る。前日はなぜか寄らなかった「ジョン・ウェイン」ポイントにも。上部が平らな岩山は一部細長く割れているのを手袋に見立てて…

ユタ・アリゾナ壁画紀行 7日目

最初の予定では、この日はモアブから東のコロラドに入り、アナサジの住居跡であるメサ・ヴェルデに行く予定だったのだが、その後で回る予定だったモニュメント・バレーが、ちょうど予定した日に自転車レースの開催で入場できないことを知り、急きょ先にモニ…

ユタ・アリゾナ壁画紀行 6日目

この日は壁画よりもモアブの近くのアーチーズ国立公園で奇岩を見る予定だった。自分の『奇岩の世界』に掲載した岩も複数ある。 アーチーズ国立公園は中に入る車の時間帯ごとの台数制限をしていて、私は国立公園の入場パスは購入していたのだが、時間ごとの予…

ユタ・アリゾナ壁画紀行 5日目

朝起きて車を見ると、もうタイヤはぺちゃんこになっていた。これで長い距離走ったらホイールもダメにしてしまうので、すぐ向かいにタイヤ屋があって本当にラッキーだった。 7時半頃にタイヤ屋の前に駐車し、店員が店を開けに来ると同時にパンクをすぐに見て…

ユタ・アリゾナ壁画紀行 4日目

この日も移動の長い予定だ。まず、70号線を西に大きく移動して、エメリー近くのロチェスター・パネルを見に行く。このペトログリフは今回の旅の主な目的のひとつだ。ネットで画像検索すると、壁面の一部に影がおちている写真がある。これは避けたい。何時頃…

ユタ・アリゾナ壁画紀行 3日目

朝早く起きて、ホースシュー・キャニオンに向かう。最後は約1時間のオフロードで、この道がコンディションが悪いときは通常の車では難しいとあちこちに書かれていたので4WDを借りざるをえなかったのだ。道は概ねすごく平坦だったが、一ヶ所砂漠のようになっ…

ユタ・アリゾナ壁画紀行 2日目

朝早めに宿を出てブライス・キャニオンに。 ブライス・キャニオンは侵食によってできた円形の陥没地で、細長い土柱が立ち並ぶ独特の景観だ。自分で編纂した『奇岩の世界』でも紹介して、一度行ってみたいと思っていた。円形の谷の外周を歩くコースや、下に降…

ユタ・アリゾナ壁画紀行 1日目

約2週間、北米のユタ・アリゾナに単独で壁画の撮影に行くことになった。6月は海外の研究グループに同行してボルネオ島に行く話もあったが、手続きが整わず、かわりに選んだのが北米だった。 北米は面積が広いからあたりまえなのだが、壁画サイトの数が膨大で…

コロンビア・アマゾン壁画紀行 その8

ボゴタに戻り、そのまま帰国する日。 ボゴタ行きの国内便が無い日でもあり、また、ちょうどボゴタとサン・ホセの中間にある町に面白いペトログリフのある岩があるので、ドライバーのダルウィンに交渉して車でボゴタまで行ってもらうことにした。 地図で見た…