電車に乗る仮面ライダー/スノードン登山鉄道

仕事で「仮面ライダー響鬼」の最初の3話を見た。「響鬼」は妖怪系の話で、出版関連でも好きな人が多い。私は子どものときも仮面ライダーにはあまり興味がなかったので、響鬼も見ていなかったのだが、その次の「カブト」は娘が見ていたこともあり、少し見た。「カブト」はなんだかややこしい話で、どこか子どもよりもマニアの評価を気にしながら作ってるような感じだな、と思った。その次の仮面ライダーもちらっと見たら、なんと電車に乗っているではないか! 「カブト」においてもバイクに乗るシーンがほとんどないな、と思っていたが....。最近はバイクは男の子っぽい乗り物じゃないんだろうか。そういえば、街中でもスクーターの方が多い感じだし。バイクのデザインにも目新しいものがなく、全体に低調な感じがある。ヴィンテージっぽい単気筒のバイクやハーレ−が流行ったのももう10年以上前か。ちょっと危なくて男の子が憧れる乗り物という地位を失っているのかもしれない。それにしても「電車」って....戦いには相応しくないように思うのだが。
静かな「鉄道」ブームらしい。よく知らないが、「電車でゴー」的なソフトもかなり発展していて、売れ行きもすこぶる好調らしい。ローカル線などもいろんな形で話題になる。
私も小学校5-6年くらいのほんの少しの間だけ鉄道ファンだった。時刻表を見て、接続を確かめつつ小旅行に行くのが好きだった。友達と「駅のスタンプ」をあつめていたのだ。電化前の成田線や、新幹線が博多まで通る前の東海道線の急行など、当時まだ残っていた手で扉を開ける(左右開きでなく、扉タイプの)ような古い車両に乗り、ドアを開けて風にあたりながら景色を見るのが好きだった。いつのまに刷り込まれたのかわからないが、そうした列車の旅に伴う哀愁のようなものを、当時既に感じていたのだった。おそらく映画やテレビ番組の影響だったのだろうが。
日本で最後にそうした車両に乗ったのは、大学時代に京都から乗った小浜線だった。ドアを開けて風にあたりつつ旅愁に浸っていると、顔に数滴しぶきがかかるのを感じたのだった。数秒後、事態の深刻さに気づき大騒ぎしたのだが、同行していた友人が「さっき、あのオッサンがトイレから出て来たぜ」と、知らなければ済んだ情報まで入れるし、最悪だった。
今の窓も開かない特急電車の旅などには何の情趣も見いだせないので、到底鉄道ファンになりえない。
近代は内燃機関の時代であって、その発祥の地、イギリスには今でも蒸気機関車が走っている。観光用として好評であることもあるが、使えるものは直しつつ使おうというイギリス人のしつこさを感じる。国策で一気に「油化」した日本とは随分違う。
石炭の鉱山が多くあったウェールズで、蒸気機関車を多く見かけたが、「燃やして、動いてます」という分かりやすさがある。電車だって、どこかで石油やウランや天然ガスを「燃やして」得たエネルギーを使っているわけだが、感覚的に理解しにくい。ウェールズ蒸気機関車は、観光シーズンになると、人気キャラクタの「機関車トーマス」の顔を付けて、子どもたちを乗せて走るイベントをやっていて、これが大好評なのだが、このときは、機関車が全て「トーマス」に登場するキャラの顔になっていて、駅のホームにも特別なチケットがないと入れない。イヴェントを知らずに訪れた日本の鉄道マニアなどは、顔がついたSLを前にしてガックリと膝を落とすらしいのだが。
「トーマス」には乗らなかったが、ウェールズの最高峰スノードンに昇る登山鉄道に乗った。小さな蒸気機関車だ。最高峰と言っても1085mと、大した高さではないが、霧深い岩山なので、とても高い山に上っているような印象がある。
蒸気機関車は斜面を息を切らしながら必死に上る。途中で蒸気の元、水の補給がある。持久走みたいだ。
イギリスにも「てっちゃん」は沢山いるようで、今、そうした大人を相手に「体験」運転の受け入れをしているという。熟練の機関士に「ぼやぼやするな、早く石炭をくべろ、鼻だ、鼻で判断するんだ!」などと叱られる、彼らにとってこの上なく幸せな時間を過ごすのだそうだ。