地震-14、15

ガソリンの販売がようやく正常に戻りつつあると聞いたので、道に出てみるが、確かに行列が無くなっていた。が、まだ被災地には長い行列があるようだ。以前はタンカーで主要な港湾に運んでいたようだが、使える港が激減したこともあって、ルートが無くなっているらしい。これは民間に任せていたらなかなか難しいだろう。ライフラインというと電気、水道、ガスというが、今はガソリンもまた不可欠なはずだ。こうしたものの供給にも自衛隊などが関われるようにできないのか。薬なども全く足りていないようだし、支援物資をヘリから降ろすには、海外の医師の支援団に治療行為をさせるには、法律的な障害があるから出来ないなどという話を聞くと、耳を疑う。あいかわらず、何かあったときに誰が責任を問われるのか、ということしか考えていない。都庁には支援品が満杯で受付を終了したというし、物は集まる所には集まっているのだ。

金曜の夜は「朝生」の最初だけちらっと見る、が、うんざりして消す。勝間和代氏が「今は(原発で)何が起きているかわかるようになっただけまし」と言っていたが、東電や保安院でもよくわからないと言っているのに、どうしてこの人にわかるんだろう。こういう発言を聞くと、他の事柄についても正確に把握する力があるのか疑わしい。

排水口付近で1800倍というような数値になってきて、さすがにテレビに出てくる「専門家」の口も重くなってきたが、それでも、「海は広いですから」とか「海の水は飲みませんから」とか言っている。どのくらいになったら、態度が変わるのか。チェルノブイリ事故で被曝した小児の治療に携わっていた現松本市長の菅谷氏がテレビ番組に出ていたが、やはり現実を詳しく見ている人は言葉も態度も違う。小児の甲状腺がん以外は健康被害はなかったという公式発表にも疑問を呈し、できれば小児だけでなく、成長期の子どもは水道水を飲まない方がいいと。「飲んでも平気。基準が厳しすぎる」という学者がいる一方、「気をつけたほうがいい」という医師がいるという状況では、誰のいうことを信じればいいのかわからない。小さな子どもを持った親は本当に不安だ。
現在、福島にはかなりの量のヨウ素剤が入っているらしい。すでに配布した自治体に対しては批判的な意見が多いようだが、100ミリシーベルトになったら飲むという安全委の勧告は現実的なものなのか疑わしい。そうい事態に至った後で、配布し、医師の立ち会いのもとで飲ませる、ということがスムーズにできるとは思えないからだ。菅谷氏も、早めに摂取させた方がいいと言っていた。早めに子どもに摂取させる、足りなければ輸入するなど、手をつくしてほしい。個人で輸入する人も増えているようだが、行政がきちんと対応しないと、大人が摂取して副作用が出るなど、いろんな事態が起こるに違いない。

浜岡原発の3号機を来月早々に再稼働させると、中部電力が静岡知事に申し入れたという。浜岡原発東海地震震源エリアの中にあり、真下にも断層があるとみられている。ボーリングによって、これまで想定されてきたものより遥かに大きな規模の地震が何度か起きていることもわかっている。
浜岡原発をめぐる訴訟では、まさに大地震の際に非常用ディーゼルが使えなくなったらどうするのか、電源が長期にわたって喪失したらどうするのか、ということが争われたわけで、今、福島で起きていることは決して誰も想定できなかった事態ではない。今、何かと指弾されている安全委員会の斑目春樹氏は裁判で、非常用ディーゼル発電機が2個とも起動しない場合に大変なことになるのではないかと質問を受け、『そのような事態は想定しない。そのような想定をしたのでは原発はつくれない。だから割り切らなければ設計なんてできませんね』と言っている。また、「1000年に一度」を想定するかどうか、の話だ。だが、原発が40年稼働するとして、1000分の40は4%だ。決して小さな数字ではない。電力が足りないことから、おそらく承認されるのだろうが、今、この状況で再稼働の申し入れをする神経を疑う。

斑目氏の23日の国会でのやり取りの一部が以下のブログに起こされている。
http://blog.livedoor.jp/koike_takehiko/archives/51728944.html

左右に怖い書影が並んでいるが、ブログの書き手の小池氏は、怪奇、心霊関係の作家・評論家。私は昨年本の装丁をさせていただいた。心霊事件の歴史的古層を掘る、というような独特なルポで、とても面白かった。表紙に使ったのは、「現場」のひとつで、台座しか残っていない地蔵で、「無い」ことがかえって気味が悪いかなと思ったのだが、どうも最近、地蔵を壊したり、盗んだりということが全国的に増えているらしい。

日本の幽霊事件 (幽BOOKS)

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もうひとつ、テレビではあまり個々の議員の発言が紹介されないが、河野太郎原発に批判的だったとは知らなかった。津波の高さの想定がいかに「お手盛り」だったかについて、ブログで書いている。原発関連は全てお手盛りなので、何ら驚かないが。
http://www.taro.org/2011/03/post-963.php

こういう議員には原電開発をめぐる利権の構図を徹底的に明らかにしてほしい。自民党議員には特に責任感をもってやってほしい。地元への金のばらまきから、反対運動潰しから、全てリードしてきたからだ。80年代初頭に敦賀原発の事故隠しが問題になった後、友人と現地に行ったことがある。一般向けの広報施設の入り口には右翼の機関誌が二種積まれていた。