エッセイストの宮田珠己さんが河出書房新社のウェブサイトに連載している「いい感じの石ころを拾いに」に、先日いらした時のことを書いていただいた。こっ恥ずかしいけれど嬉しい。
http://mag.kawade.co.jp/ishikoro/

宮田さんの旅行エッセイは、通勤中に読むとニヤついてしまって困る。時々笑いを抑えるのに苦労する。どうしてこんなにちょっとしたことにこんなに面白い言い回しができるの?と感動するのだが、『本の雑誌』で連載していた人文書の紹介シリーズも面白かった。門外漢である強みを存分に活かしたダイレクトな「面白さの肝」のつかみ方は、新聞書評などにはみられないもので、読みたい本が一気に増えてしまった。

はるか南の海のかなたに愉快な本の大陸がある

はるか南の海のかなたに愉快な本の大陸がある


仕事場の移転の前に、これでしばらく石の切断機が使えないからと、手元にあった原石を切って切って切りまくったのだが、連続して使いすぎたのか、石が硬すぎたのか、部品が熱で歪んでしまった。気がついたら歯が石に食い込んでベルトが空回りしていたのだ。
アメリカ製の切断機は実にシンプルな構造なのだが、手作り感満載で、あちこち具合が悪くなる。簡単な工具で直せる場合もあるが、いかんせん、機械部品の基本知識が無いので、その度に苦労した。まず、モーターだが、これはアメリカとは電圧が異なるので、電源との間に変圧器をかませないといけない。機械メーカーはモーター抜きの仕様でも売っていて、その方が送料が圧倒的に安くなるのだが、日本でどんなところからどんなモーターを調達すればいいか見当がつかず、仕方なくモーター込みで購入した。
また、使い始めてまもない頃、やはりカッターの歯が石にスタックして、ベルトが空回りし、しばらく気がつかなかったため、もうもうと煙を上げて焼き切れてしまった。ベルトだけ買おうかとメーカーに問い合わせると、そんなのどこにでも売ってるだろ、とのこと。自動車のファンベルトと同じもので、ホームセンターにも売っているとわかったときは感動した。また、冷却用の油も最初はアメリカから買っていたが、液体を何十キロも海外から買う馬鹿はそういないと思う。税関で止められ、しつこく質問されて閉口した。日本で調達しようにもどこに聞けばいいかわからず右往左往し、石油メーカーに尋ね、いくつか紹介してもらった末に同等の品を特定できた。ごくありふれた油だったのだが、言葉が違うとこんなにも苦労するのかと思い知った。そして、今回はモーターについている駆動用の輪が熱でひん曲がってしまったのだが、そもそも何という部品なのか、わかるまでずいぶん時間がかかった。プーリーという名前だということを知ったあとも、サイズや留め金の形式やら千差万別で、どうやって注文していいかわからない。結局、切断機をお蔵入りにするまで、だましだまし使ったが、ようやく今回、専門の業者に実物を送って同じものを作ってもらうことにした。作ってもらっても切断機がお蔵入りになっているので、しばらくは使えない。
こんなドタバタも全て、周りに同じことをしている知り合いがいない、ということに尽きるのだが。