ようやく秋らしい陽気になってきたので、朝、黒目川沿いを二駅分歩くことにした。引っ越しなどもあって何かと車を使うことが多かったので、すっかり足腰が弱くなってしまったのだ。
久しぶりに見る黒目川は川岸に桑の木が数多く茂っていて、随分と印象が変わっている。桑は成長がすごく速いので二、三年で立派な木になる。放っておくと大木になってしまうだろうから、おそらくいずれ伐採されるだろう。
桑といえば蚕なのだが、桑の木に蚕の幼虫のような虫を見かけたことがない。育った国分寺には桑畑もあったし、道端や林にもたくさん桑の木があった。娘が桑の実好きだったので、近年もかなりたくさんの木を見たつもりだが、幼虫を見た憶えがない。小学校の授業で飼ったことがあるだけだ。野生種の蚕っているのかとWikiを見ると、完全に家畜化された虫で、自然環境では一晩も生きられないとある。歴史が長くて原種もよくわからないようだ。そもそも足が退化していて葉にとまっていることすらできないのだとか。何と! 昔聞いたことがあるような気もするが....改めて驚いた。じゃあ、緑色っぽい「天蚕」っていうのはどうなのか、あれは確か野生の蚕だったような気がすると思って調べてみたらば、ヤママユガの繭からとるもので、全く別種らしい。
両親は諏訪出身なので、母は「お蚕さま」と言う。お、と、さまの両方つけるのは他に「お天道さま」くらいのものだ。どれだけありがたい虫だったかわかる。モスラの幼虫も顔は完全に蚕なのだ。