ロンドン-ローマの距離

『古代のイギリス』という、ローマ帝国統治時代のブリテン島の歴史をコンパクトにまとめた本を読んだ。
四六判で100頁強の中に収められているので、本としての面白みには欠けるが、手軽に基本的な知識を得られるという点で便利ではある。
この本を読んで、ふと、ローマとロンドンはどれくらい離れているのか、地図を定規で測ってみた。ローマ帝国ブリテン島を支配した、と、言われると、大変な距離を軍隊が進んだというイメージがあるが、(私にとって)驚いたことに、直線距離にすると、鹿児島-青森間くらいしかない。世界史の授業などでヨーロッパの地図を繰り返し見てきたためか、実際の広さよりもずっと大きなイメージを持っていたことがわかった。この程度の面積の中のいくつかの国々が、かつて世界の半分を植民地支配していた時代があったのだから驚いてしまう。
『巨石』の中で、ストーンヘンジの近くで発掘された墓に埋葬されていた人物がアルプス地方育ちだった可能性が高いという話を書いた。その下りを書いていたときも、「そんなにも遠くから来た人物」というイメージだったが、アルプスとの距離は下北半島と愛知くらいのものだ。三内丸山遺跡から伊豆七島神津島産の黒曜石が出土したという話を聞いたことがあるが、この距離もだいたい同じようなものだ。徒歩、あるいは小さな船での移動ということを考えると、決して楽な距離ではないだろうが、石器時代の移動距離として決して突飛な話ではないということがわかる。


古代のイギリス (〈1冊でわかる〉シリーズ)