ヤァラルホーン

朝仕事に行く前にもたもたテレビなど見ていると、連日いやなニュースばかり耳にするのだが、今日聞いた話は中でも最悪だった。中学1年の女子が柔道部の練習中に上級生に虐待され、頭を強く打って植物状態になっているという。女児を最初に診断した医師はあまりに酷い暴力の形跡をみて、校長を激しく叱責したという。だが、学校は事件の経緯を隠したばかりでなく、女児がもともと頭に持病があって普通の練習中に倒れた、母親が学校には責任はありませんとコメントしている、などとありもしない話を印刷物にし、医師のコメントなどには微塵も触れない説明会を、両親が看護で不在中に済ませてごまかそうとしていたらしい。女児に長時間暴力をふるった生徒だけでなく、ありもしない話をでっち上げてうやむやにしようとした教師たちの行為も、犯罪として訴えられるべきだ。


フィンランドのコンテンポラリー・フォークバンド、GJALLARHORN=ヤァラルホーンの新作が出ていたので、早速聞く。昨年来日し、聞きに行った。普段ほとんどライブを聞きにいくことが無くなってしまったが、音楽の友社の編集者だったSさんがチケットをとってくれたのだった。
フィンランドのバンドだが、ヴァルティナとは全く違って、ノルウェースウェーデンのフォークサウンドに近い。実際、メンバーの多くはフィンランドの西部、スウェーデンに近い地域出身なのだそうだ。一人スウェーデン人も入っている。女性ボーカルはやはりノルウェースウェーデンの牛追い歌の歌唱法を駆使している。キーンと頭のてっぺんから出るような、空気がビリビリと響くような声の出し方だ(牛を追う声なので、遠くまで響かないと)。フィドルスウェーデン風に聞こえる。このバンド、最大の特徴はほぼ全編ディジェリドゥ(オーストラリアのアボリジニの管楽器)が入っていることだった。フィドルとボーカルの硬く研がれたような高音と低く唸るディジェリドゥという異様な取り合わせなのだが、不思議なほど良く合っていた。しかも、ステージを見て驚いたことに、このバンドのディジェリドゥはトロンボーンのように伸び縮みして、音が変わるように作られていたのだ。
ノルウェースウェーデン系のバンドとしては一番好きだったのだが、残念ながら、新作ではディジェリドゥ奏者が抜けている。なんでも、日本でのライブを最後に脱退したのだそうだ。かわりに非常に低い音のフルートを吹く奏者が加わっていて、全体の音造りも緻密で、なかなか良いのだが、雪原でカンガルーの丸焼きをしているような(あぁ、最低な喩えだ)野蛮な醍醐味のようなものがなくなってしまって、やや物足りなかった。
アルバムのテーマは北欧神話に登場する魔法の馬とのことで、ジャケットに白馬に乗る女性の雰囲気たっぷりな写真が使われているのだが、なぜか写真の解像度が非常に低い。意図的にボカしてあるのではなく、単に解像度が低い写真を無理に使っているのだ。裏ジャケットやブックレットにはもっとクリアな写真が載っているのに、なぜ表の写真はこうなのか? こんなデータしか無かったの? と、職業柄、細かいことが気になってしかたない。

バンドについてはここに詳しいことが載っている
http://homepage3.nifty.com/nordic-notes/artists_folk/gjallarhorn.html

Rimfaxe