御岳山/「アウト・オブ・アイルランド」

土曜、天気がいいというので御岳山に行く。ところが予報が大外れで、雨こそ降らなかったが、暗い曇天で寒く、一度も日がささなかった。気象庁も連休の予報くらい気合いを入れてほしい。
青梅線御嶽駅から登る御岳山は多摩育ちの私にとっては馴染み深い山で、10数回以上行っていると思う。家族で初めて登ったのも御岳山だったように憶えている。もっとも、ケーブルカーに乗ってしまうと、ほとんど山歩きとはいえないのだが...。関東の山岳信仰の中心地といっていい場所で、古い茅葺きの宿坊などが立ち並ぶ。苔むして、重量感のある見事な屋根だ。本殿まで上って行くと、ユニークな狛犬がある。お札にもこの犬の絵が描かれている。これは狼で、ヤマトタケルを導いたという言い伝えに由来するらしい。

    

神社から少し歩いたところに、見晴らしの良い平地がある。入口の売店ではヤマゲラの餌付けをしていて、手のひらに乗せたひまわりの種をついばむ。誰がやっても怖がらずに来るのが愛らしい。滅多にない経験なので、皆、売店のおやじに餌をもらって試すのだが、小さな子などは飛んで来ると怖がって反射的に手を引っ込めてしまったりする。商売熱心だったら「餌やり20円」とかいって金をとりそうなものだが、人の良さそうなおやじは「この山の上全部を使って飼ってるんだよ」と笑っている。
この平地から七代の滝、天狗岩と、1時間ほどの山道を歩いたが、これがとても急な道で、この1年ほど全く運動不足だった身には結構骨がおれた。ガクガクになりつつ山を下り、御嶽駅前の御岳渓谷を散歩する。大きな岩がごろごろしていて、なかなか眺めがいい。川岸に川合玉堂の美術館があるが、ここも静かでいい美術館だ。