「アウト・オブ・アイルランド」

アイルランドのロックの歴史を振り返るDVD「アウト・オブ・アイルランド」が中古で売っていたので購入。以前から気にはなっていたが、記録ものはインタビューや関係者の発言などが多くて、実際に演奏している映像が少ないことが多いので、今ひとつ食指が動かなかった。これがとても面白かった。プランクティーやヴァン・モリスンの古い映像など、滅多にみられないものも入っているし、アイルランドのロックの歴史というテーマそのものがとても興味深かった。アイルランドではアメリカのジャズバンドやロカビリー・バンドなどをそのまま真似た「ショー・バンド」の興行が長らくポピュラー・ミュージック・シーンの真ん中に座っていて、独自の音楽的発展を阻害していたのだという。「不毛だった」「敵だった」「彼らのせいで」と、ボブ・ゲルドフやボノやシネード・オコナーなどが口をそろえて言っている。でも、映像を見ると大変な盛り上がりで、これはこれで風俗史として面白そうだ。また、ロリー・ギャラガーとシン・リジーアイルランドのロック・ミュージシャンたちにとって極めて重要な、いわば「英雄」とも言っていいような存在だったということも、よく知らなかった。どちらも(シン・リジーのフィル・ライノットも)既に亡くなっている。フィル・ライノットはダブリンに銅像まで立っているらしい。両者とも断片的にしか聞いたことがないのだが、ロリー・ギャラガーのライブ映像はなかなかかっこよかった。
アウト・オブ・アイルランド ~ヒストリー・オブ・アイリッシュ・ロック~ [DVD]