ピンピンしていたにもかかわらず何年も病欠扱いで、給料をもらっていた奈良の公務員がいるらしいが、京都にやはり同じようなケースで、数年間病欠で公務員の給料を受け取りつつ、居酒屋を開業していた人がいるそうだ。隠れてやっていたという感じでもなく、作務衣など着て堂々とやっている姿を関係者が大勢見ていたそうだ。払う方も払う方だが、堂々ともらって全く悪びれることもない、というのもすごいな。やはり、受け取っている金が公金だからだろうか。匿名の金というか、顔の見えない金に対して、使う方も受け取る方も、緊張感がない。「こんな立派な橋や施設、いらないよなぁ〜」と、地元の人までが感じているようなものが、金をかければ補助金がでるからという理由でボコボコできちゃうのも、「裏金は....燃やしました」なんて言っちゃうのも、同じような感覚によるものにちがいない。みんなの金=特定の誰かの金ではない=先に取ったもの勝ち、という感覚....これは数十年かけて日本社会に染みこんできた気がする。
会社員は給料から税金を天引きされるので、残ったものを基準に収入を考えがちだと思う。明細を見ても、「自分は本当はこれだけ稼いでいるのに、これだけ取られているんだな」という実感は、自分の短い会社勤め時代を振り返っても、希薄だった。これが個人事業になって、仕事単位で現金が入ってくるようになると、源泉徴収はあるけれど、やれ市民税だ都民税だ、個人事業税だ、特別区民税だ、ついには消費税だと次々に来るので、確実に自分の稼ぎを取り上げられていく感覚がある。あらかじめ引かれているのと、一度受け取ったものから引かれるのとでは全く印象が違う。その都度、ムカっと来る。今話題の「タウンミーティング」1回に1000万円かけてました、というような話を聞くと、さらにムカムカくる(地方の公会堂でやるような集会のセッティングを電通なんかに発注して.....馬鹿じゃないか?? 田中康夫が同じような規模でやっていた長野県の「車座集会」は1回30万円くらいでやっていたという。いったいどこに使ったら1000万円になるんだ?)。勤め人も、一度振り込んでから、あらためて引くようにしてはどうかと思う。
奈良の男は解放同盟の支部長だったから、誰も鈴をつけようとしなかったということだ。これはまた別次元の話だが、やはり公金の使い方、利権を巡る問題ではある。この男が、入札制度の変更をめぐって発した「同盟の議題にのせる」という台詞が「脅迫」であったとして逮捕されたことを、同盟は深刻に考えるべきなんではないだろうか。