ダヤク族

lithos2006-11-19

最近、「ボルネオのビーズ」という洋書を購入した。インドネシアボルネオ島=(今はカリマンタン島と呼ぶようだが)のダヤク族のビーズ細工の本だ。べつに趣味でビーズをやっているというわけではなくて、この人たちのつくる造形にとても興味がある。首狩りの風習があった人たちとしても知られているが、衣装、使う道具、入墨、家屋に描かれた壁画、戦士の縦や、祭りの装束などに描かれる模様が実に魅力的なのだ。樹状にのび、旋回し、からみあった独特なパターンに、人像、獣、精霊とおぼしき姿が一体化するように入れ込まれている。装飾美術として傑出している。織物文化も深いものがあるようだが、ビーズを絵画的に編み上げる手法がとてもユニークで、見ていてほれぼれする。赤ん坊を背負う独特な「背負子」には、ビーズによる装飾と、イノシシの歯が付けられている。
伊豆高原に「とんぼ玉美術館」という、とんぼ玉(ガラスビーズ)のギャラリーと工房があるが、ここにダヤク族のビーズ細工が複数展示されていて、実物を見ると、細工の細かさに驚嘆する。こうした手仕事の文化は、産業として成り立つ基盤を得たもの以外、急速に消滅しつつある。