黒目川のヒクイナ

浅間山の噴火はたいしたことない、と言っているけど、直径50センチの岩が飛んでくるというのは、やっぱり大変なことなのだ。
いつ地震が起きるか、火山が噴火するかわからない場所に生きてきたということは、日本人特有の刹那感というか、あるところを超えるとプッツンしてしまう心性に大きく影響しているような気がする。


通勤途上の黒目川沿いの遊歩道に、ここ一週間ほど人だかりができている。普段もカワセミなどを撮るために大きな望遠レンズを付けた人たちが行き来しているのだが、ここ数日は大変な賑わいなのだ。最初はてっきりカワセミ目的なのかと思っていたが、皆、川岸の葦の下あたりにレンズを向けている。見れば、茶色い鳥が草間でヒョコヒョコ歩いている。
ヒクイナという、珍しい鳥で、この近辺に来ることは滅多にないそうな。

私も日曜に望遠レンズを付けたカメラを持って行ってみた。あまり明るいレンズではないので、ぼんやりしているが、こんな鳥なのだ。調べてみたらば、絶滅危惧種に指定されているらしい。

草間に隠れるようにしているので、みんな「あぁ、また隠れちゃった」とか、「もうちょっと出てこないかな」とか言いつつ、真剣に見物しているのだが、どうも背後で猫がニャアニャアうるさい。振り返ると肥えた雄猫がうろうろしている。どうもこの辺の猫は散歩途中の人にえさなどもらいなれているのか、人が集まっているので、「わしにもなんかくれんかー」という感じなのだ。あの絶滅危惧種の鳥に対して、おまえのその肥えた体はどうなんだ? とも、思ったのだが、最近は野良猫に対して風当たりが強くなっているので、外で猫を見かけることも少なくなっていくのかもしれない。