石垣島で見たもの

石垣島に滞在中、ほとんどの時間を海で過ごしていたので、町歩きしたのは全体でほんの数時間だ。市街は随分と都会になっていた。道も広い。

古い民家の屋根に妙に黒いシーサーがあるなとよく見たらば、ゴジラだった。しかも一体ではなく、二体揃える徹底ぶりだった。

赤瓦の屋根は美しい。
小学校1-2年の担任が平敷さんという女の先生だった。記憶では30歳くらいだったろうか。やさしい先生で好きだったが、沖縄の民家の絵はがきを見せてもらったのを憶えている。台風に飛ばされないように瓦を漆喰で固めているのだと説明してもらったことを、その後何度も思い出した。68年か69年のことなので、返還前だ。

歴史遺産になっている古民家を訪れると、私の父親と同じくらいの歳に見える主人に随分長く話しかけられた。東京の東村山から来たというと、軍隊で村山や狭山出身の者と一緒だったのだと。

石垣島でナイトツアーに参加した。日が暮れてから動物を見て歩くツアーで、これがなかなか面白かった。
娘の希望はミミズクを見ることだったが、ヤエヤマコノハズクの幼鳥を間近に何羽も見て、大満足だった。

ヤエヤマオオコウモリも見た。成鳥の羽音はさながら大きなブーメランかなにかが通り過ぎるような音だ。
虫は大きなカマドウマやムカデ、巨大なゲジゲジなど、あまり直視したくないものが多かったが、蛍の姿に驚いた。
そこここで光っているなと近づくと、陸生の蛍の幼虫の大きなものは小指大ほどもあり、キャタピラ状で結構怖い形をしている。カタツムリを食べるらしい。

大型の陸生のヤドカリもいる。これは小笠原にいるものと同種らしい。学生時代に小笠原に行ったときに南西部で沢山見たが、現在は絶滅危惧種らしい。
子どもの頃は、これをデパートや縁日で売っている業者がいた。紫色やピンク味を帯びた色の大きなヤドカリで、ミドリガメなどと同じように売っていたのだ。私もひとつ買ってもらったことがあるが、しばらくして、殻の大きさが合わなくなったらしく、殻から出て、ほどなく死んでしまった。ヤドカリは殻の大きさや形にかなりにこだわりがあるらしく、時には他のヤドカリから殻を奪ったりするらしい。

ナイト・ツアーを主宰したSea Beansさんは、説明も丁寧で、とても良かった。月の出ていない夜に山道で明かりを消すと一瞬、真の闇になる。それだけでも、都市部ではなかなか得られない体験だ。
Sea BeansさんのWebはこちら。
http://www.seabeans.net/

海の中でも、山でもいろいろとユニークな生き物を見たが、最もおかしな姿の生き物をあえてあげるとすれば、このカニだろうか。娘が波打ち際で見つけたのだが、藻に擬態していて、手足をくっつけると藻の塊にしか見えない。前も後ろもよくわからない。裏側も完璧に「藻」だった。