朝青龍・Dr.パルナサスの鏡

朝青龍の引退はなんとも残念だ。
彼のキャラクターは全く好きじゃなかったが、すばらしく見応えのある相撲をとる力士だったことは確かだ。
足を痛めた貴乃花武蔵丸に勝って「鬼の形相」を見せた一番を最後のピークとして、相撲人気は落ち続けているけれど、取り組みの内容からすれば、貴乃花とハワイ勢の面白みのない相撲が終わった後、相撲本来の醍醐味ともいうべきものを思い出させてくれたのは朝青龍だった。先場所の把瑠都戦など見ても、かつて「バランスの芸術」と呼ばれたものはこれだろうと、唸らされるものがあった。
様式美あっての相撲だし、力士が土俵の上でガッツポーズするのは確かに全く相撲らしくないのだが、伝統とか品格とかばかりが問題になることが、相撲の衰退そのものなのだと思う。
また、「相撲道」なる言葉にも違和感を覚える。相撲は柔道や剣道と違う。酒を飲みながら、贔屓の力士が勝っても負けても笑顔で楽しめるのが相撲のいいところなのだ。


Dr.パルナサスの鏡」、楽しかった。初期作品のような過剰さは薄らいでいる感じはあるけれど、テリー・ギリアムらしいとしかいいようの世界で、ひさしぶりにパイソン的なフレーバーの多い作品でもあった。しんねりした悪魔役のトム・ウェイツが実にいい。