地震8

自動車は使えないし、武蔵野線は本数が少なくなっているし、陽気もいいので、気分転換に病院まで自転車で行く。梅の香りが風にのってきて、もう完全に春だなと感じるのだが、どうも明日からまた寒くなるらしい。また被災地は零下だろうか。
1時間以上かかるかと思ったが、ボロいママチャリの割には思ったよりも早く着いた。府中街道には相変わらずガソリンスタンドから1キロ近い車列。「3000円まで」のボードを持った店員などが車列の誘導で何人も路上に出ている。

帰りに「お風呂の王様」に寄る。サウナでテレビニュースを見ていると、避難所の映像や9日ぶりに救助された人の映像などに、知り合い同士でいろんなコメントを寄せているが、3号炉の圧力が高くなっているという話になったら、すっと静かになった。特に誰もコメント無し。先々の悪いことの話題は避ける、というのは日本人の特徴かもしれない。「縁起でもない」からだ。風呂から上がって自動販売機を見て愕然とした。牛乳の販売機がすっかり空っぽじゃないか。大きな販売機が二台もあるのに! しかもパンピーとかコーヒー牛乳とかフルーツ牛乳とか、そんなのまで、一切なくなっている。まさかここでまとめ買いして帰る輩がいるんだろうか。瓶入りの牛乳を...。


ハイパーレスキュー隊の会見を見るにつけ、放水作業などに従事する人たちは本当に大変だと思う。けれど、今は頼らざるをえない。昨日の自衛隊の撮影した画像を見ると防護服はかなり軽いものなのだそうだ。通常時の原発の作業員が着るものと同じだと、テレビで放射線の専門家が訝っていた。何度も言いたいが、事後の特別に手厚い保障、金銭的にも、健康のサポートの面でも最大限のことをすべきだと思う。今後作業をする人の中には東電の社員でなく、下請け、孫請けの人もいるかと思う。こういう人たちがケアの対象から漏れるようなことは決してあってはいけない。

電力が回復してどうなるか、という微妙な状態だが、原子力資料室の昨日のustreamの会見がわかり易く、問題点も整理されていると感じた。後藤氏は昨日もテレビニュースに出ていたが、かなり発言を抑えていた。時間もあまり与えられていないので仕方ないかもしれないが。
http://www.ustream.tv/channel/cnic-news

後半でチェルノブイリの汚染被害のマップなどが出てきたが、友人のブログに、ニューヨークタイムズの記事で、米政府がどうして80キロ圏内待避を決めたのかという根拠になったデータへのリンクがあったので、転載する。

ニューヨークタイムス(訳つき)
ニューヨークタイムス

おそらくメルトダウン、水素爆発というような大惨事が起きた場合を仮定してのことだろうが、それについては書いていないようだ。稼働中だった原子炉が3つ、冷却中の使用済み燃料が数千本という規模のどの程度が決定的な事態に至るかで、全く変わってくるだろうけれど。

20キロ圏内待避、30キロ圏内屋内避難という措置が妥当かどうか問われると、テレビに出ている専門家は全て問題ありません、というのだが、先日、「さらに事故が悪い状態に至っても、この形で大丈夫か」という問いに対して、京都大学中島健氏が、ちょっと口ごもるような、曖昧な感じで「はい」と答えたのにはちょっと驚いた。「はい」はまずいでしょう。

平成2年の原子力安全委員会の答申に、長期の電源消失という事態は考えられないため、対策の考慮の必要はないと書いてあるという。安全委員会も保安院も、結局は原電推進のシステムの一部だ。今直ちに、過去の判断を責めている場合ではないが、いずれこれは必ずやらなければならない。お墨付きを与えた学者は誰だったのか、反対意見はなかったのか、誰がそれを抑えたのか。これは薬害問題とも一種似た構造をもっているかもしれない。合意の形成は不透明、想定外の事態への対応が遅く、苦手、さらに起きてしまったことは仕方ないと流してしまう、という日本の悪いパターンを繰り返してはいけない。