地震-20

読売の世論調査で「今後、国内の原子力発電所をどうすべきか」という質問に対して、「現状維持」というのが46%で最大、「増やすべき」の10%を加えると過半数を超えている。この事態を前にして尚「現状維持」とは。今日、原発の汚染水問題が遅々として進まないということ以上に気分の重くなる話だった。
大惨事を前にしての日本人の「落ちつき」が海外で賞賛されている、というが、私はこれもひとつの「現状維持願望」の現れではないかと思う。また、様々な過剰な自粛、判で押したようなやさしいメッセージの洪水にも違和感をおぼえる。みんないっしょ、必要のない電話・メールはやめましょう、その買い物必要ですか?のCMはまるで「欲しがりません、勝つまでは」の再来だ。大きなプレッシャーを受けると、一層内的な均質性を求める、異質性を排除するというのは、日本独特だと思うが、ここ20年の社会状況の変化、そしてこの事態を乗り越える力には結びつかない。

原子力資料情報室のUSTREAMで、孫正義+田原総一郎+後藤政志+田中三彦の座談会(?)を見る。
孫氏は100億寄付、さらに引退までの報酬を全て寄付するという。ガイガーカウンターを持って30キロ圏以内の自宅避難エリアに行っている。経営者として広報効果等、いろんな思惑があるかと思うが、とりあえず、なんにもしていない国会議員より、「今、ひとつになるとき」といいつのることより、被災者にとってはずっと意味のある行動だと思う。
この前にソフトバンクの広報的な番組をやっていたのには違和感を憶えたし、座談会(?)そのものも、どこかソフトバンクの広報っぽい感じがなきにしもあらずだったが、マスメディアでの御用学者たちに比べて、反対する立場のジャーナリスト、学者の声の扱いはあまりにも小さいので、有効な手段は何でも使う、ということでいいのではないかと思う。田原総一郎がつまらない横やりを入れるので、いつもの原子力資料情報室の会見にくらべてわかりにくく、散漫な感じになってしまっていたが。
後藤氏や小出裕章京都大学原子炉実験所)氏がちょこちょこテレビ番組にも出るようになったが、あまりにも時間が短く、そんなの誰に聞いても同じだろうというような質問しかされない。御用学者ばかり出すなという批判に対するエクスキューズとしか見えない。


政府は震災後、インドネシアから送られた毛布1万枚を、「仕様が合わない」といって受け入れず、先方は準備し直したという。毛布の「仕様」って一体何なのか? 手続き上の問題なのか? タイからの米、もち米支援の打診に対しても具体的な受け入れ先を連絡せず、事実上拒否する格好になったという。産経のオンライン版によると、「134の国・地域と39の国際機関が支援の意思を表明したが、日本が受け入れた国・地域と機関は約30」だそうな。被災地ではずっと物資不足で苦しんでいたというのに、日本の行政というのは本当に救いがたい。
東電も早い段階で米軍の支援を断ったと言われているし(東電は否定しているが、米側は拒否されたと言っている)フランスのロボットを借りることも一度は断ったと言われている。東電もどうしようもなくお役所的組織であることは、記者会見に出てくる幹部の様子からも明らかだが、いずれも、無能さに寒気をおぼえる。