土曜日、早稲田奉仕園地学史研究会に出席。私のような素人でも参加させていただけるオープンな集まりで、地学関連の講義と懇親会を不定期で開催している。
今回は科学史や古生物学史、地質学史の研究をされている菅谷暁氏の講義で、「天地創造」を紀元前4004年と「厳密に」算出したアイルランド英国国教会の司祭ジェイムズ・アッシャーに至る聖書年代学の歴史と、初めて科学的に地球の年齢を算定しようと試みたエドモンド・ハリーの話だった。菅谷氏は新米編集者だった時期にお世話になって以来のおつき合いで、拙著『不思議で美しい石の図鑑』でもアドバイスをいただいた。本の宣伝を兼ねて、とお誘いいただいたが、大変面白い講義だった。聖書年代学にさまざまな計算法があり、「天地創造」の見積もりも紀元前5000年代から3000年代まで、実に様々な算定があったということを始めて知る。
菅谷氏が翻訳した『太古の光景』は、古生物学の黎明期、太古の地球環境と生物はどのようにイメージされていたかを、当時の豊富な図版とともに考察するとても面白い本だ。我々の世代が小学生の時分に図鑑などの中で見た「恐竜の時代の光景」なども、かなりの部分がイマジネーションに支えられていた面があり、今、専門家が見ると笑ってしまうような誤解に満ちているようだ。
隣席にいらした加藤碵一氏から、宮沢賢治の時代の岩手の地質図に賢治ゆかりの地名を書き込んだ「イーハトーブの地質図」に、現地の岩石標本の写真を掲載した「イーハトーブの地質」をいただき、感激。昨年出版された『賢治と鉱物』はテキストも造本も素晴らしい。

太古の光景―先史世界の初期絵画表現

太古の光景―先史世界の初期絵画表現

賢治と鉱物

賢治と鉱物