バハ・カリフォルニア行・2日目

朝は寒い。こんなんで、山の中でキャンプしたらかなり辛い。ダウンジャケットがあって正解だった。
今日は明日からの本格的な岩絵ツアーの前に、日帰りで行ける場所に。できればそこもメインのツアー会社に追加で行ってほしかったのだが、プライベートツアーで割り増しをかなりとっている割に、相談には乗ってくれなかった。ガイドはサルバドルで、8時半に迎えに来た。サルバドルにきくと、彼に頼めばメインのツアーで行く場所も半額以下、下手をすると三分の一くらいで行けそうな感じだった。そのかわり、食料とか自分で用意してもらうというようなことを言っていたが、キャンプ用品などを頼んだとしてももっと安くあがっただろう。でも事前情報が全く無かったので仕方ない。準備にそれなりの時間がいるので、現地に来てから相談というわけにもいかない。
途中から干上がった河原の石がゴロゴロしているオフロードを延々と走る。夏にはかなり雨量があるので、そこら中水があふれて道も壊れて通れなくなることが多いと。オーストラリアと同じだ。かなり分厚い堆積のある場所で、そこら中石ころだらけだ。
干上がった河原にかわいい白い花がたくさん咲いているなと思ったらチョウセンアサガオだった。メディシンマンがこれで幻覚を見たのさとサルバドル。日本にあるものよりかなり背が低い。

一帯は放牧地で比較的細かく所有者が分かれている。ゲートを開けながら進む。途中、雄牛が路上で頭をぶつけ合うマジな喧嘩をしていた。

 メキシコ政府の考古学歴史学協会が管理している受付で150ペソ払う。芳名帳を見たが、日本人はいないようだ。車で約3時間走った後は30分ほど山を登って、San Borjitasの洞窟に。荷物が重い。だんだんとレンズをそろえていって、装備が充実しているが、その分重くなった。望遠レンズは鳥を撮ろうかと思って持って来たのだが、必要なかったかもしれない。大きなサボテンのてっぺんにハゲ鷲のような鳥がとまっていた。

San Borjitasは洞窟というより、シェルターだ。このエリアのものはほとんどがそのようにみえる。ここは明日から行くSierra de San Franciscoではなく、Sierra de Guadaloupeの中。ほかにも山の中にはたくさんのサイトがある。全部見るのに何日かかる?と聞くと、この山だけで一ヶ月かなと、サルバドル。ということはバハ・カリフォルニアの岩絵全部見るなんてことはほぼ不可能だ。
天井の入り口近くの面に人物像がびっしり描かれている。この地方特有の赤と黒に塗り分けられた像も。少しかすれ気味であるが、壮観だ。ひとつひとつの絵が大きい。最も大きな人物像は長さ2メートルある。

 驚いたのは、体中矢がささった人物が複数あることだ。本で見ていたときは気づかなかった。呪詛画なのか、実際の戦いの記録なのか。オーストラリアにも似たものがあるのを思い出した。



小さな人、カエルのような人、そして、頭に角のあるシャーマン像が。このシェルターは居住用ではなく、シャーマンの場所だったとサルバドル。ただ、そこまで正確にはわからないだろう。人が住んだ形跡があまり無いということか。そのへんもオーストラリアに似ている。

牛や鹿の絵もある。そして、ペトログリフも。サルバドルはペトログリフは絵よりも古いと言っていたが、ここのものは絵を削っている。


撮影は三脚でできるだけ低い位置からと思ったが、上向きにセットしたカメラのファインダーを覗くのが、50肩由来の首痛でかなり無理なことがわかった。途中であきらめてフラッシュ撮影に。50肩、いいかげんにしてほしい。でも、フラッシュの写真は悪くなかった。



 
離れたところから「どんだけ撮るんだ?こいつ」という白けた目で見ていたサルバドルが、「もう一カ所小さなサイトがあるが、見たい?」と。モチロンです。
川の対岸にあったサイトは確かに小さく絵も適当な感じだったが、ネガティブハンドがあった。この写真だけ見たら、動物の描き方といい、オーストラリアのものと言われても納得する。

車に戻り、サルバドルが作ったハムとアボカドとトマトとタマネギとその他いろいろはさんであるサンドイッチとビールを。おいしかった。

ムレヘの町に着いたのが3時頃。まだ日暮れまで時間があるので、刑務所跡の博物館に行く。ムレヘは1970年代頭に道路ができる前は、船でしかアクセスできなかった。そのため、一種の島流し的に刑務所が作られたのだ。

今日は日曜、店もほとんど閉まっていて、静かなものだ。