ストーンヘンジ発掘

lithos2008-04-02


ストーンヘンジの本格的発掘調査がイギリスの国営放送BBCの資金で進行している。ストーンヘンジは前世紀前半に大まかな発掘が行われて以来、本格的調査が行われてこなかった。ちょっと意外な話だが、観光地として常に人の出入りがあることもあり、なかなか実現できなかったのだろう。二人の考古学者の主導で行われているが、彼らの仮説がなかなか面白い。ストーンヘンジは約4500年前の治癒の場、ルルドのような場所だったのではないかというのだ。宗教に病気直しはつきものなのだが、なぜこのような仮説が生まれたかというと、エリア内で出土した人骨が、病気の、あるいは怪我をしている人間のものがとても多いのだという。さらに(どのような方法で調べるのかわからないが)かなり長い距離を歩いてきたと思われる人物の骨も少なくないという。つまり、それこそルルドと同じように、長い旅の果てにストーンヘンジにたどり着き、病気や傷を癒そうとしていた人がいたのではないかと。その場所に治癒力があったなどというと、ニューエイジ系や、レイライン系の人たちが大いに盛り上がりそうなのだが...、なかなか面白い。
今回の発掘では、主に、ブルーストーンという、ストーンヘンジに最初に運び込まれた石についての調査をするようだ。ブルーストーンは遙か遠く、250キロ以上離れたウェールズの山の上から陸路、海路、さらに川を遡上するという、大変な労力をかけて運ばれたものだ。西暦2000年に、ミレニアム・プロジェクトと称して、実際に同じような重さの石を同じルートで、石器時代の道具だけを使って運ぶという企画がたてられたが、あえなく失敗して、石は海に落ちてしまった。たった一つの石を運ぶだけでも大変なのだが、4500年前の人たちは数十もの岩を遙か彼方から運び、設置した。なぜ、そこまでしてブルーストーンを運んだのかというのは、ストーンヘンジの謎のひとつだが、今回の発掘では、厳密な年代測定を行って、いつごろ、どのような手順でブルーストーンが置かれたか解明しようということらしい。
以下のBBCのウェブページで、この発掘プロジェクトの趣旨に関する解説があるが、ストーンヘンジの歴史的変化をアニメーションにしたムービーがとても面白くできている。

http://news.bbc.co.uk/1/hi/sci/tech/7322134.stm


また、以下のサイトでは、リアルタイムで発掘の状況をレポートしていて、こちらも面白い。

http://www.bbc.co.uk/history/programmes/stonehenge/