巨石

著書『ストーンヘンジ──巨石文化の歴史と謎』刊行

筑摩書房から『ストーンヘンジ──巨石文化の歴史と謎』(筑摩選書)を刊行しました。ブリテン諸島の巨石文化については、17年前に『巨石』(早川書房)という大判の写真文集を出したのですが、ストーンヘンジに関しては刊行後に本格的な調査が複数行われ、さ…

ストーンヘンジ、ここ数年にわかったこと

『巨石 イギリス・アイルランドの古代を歩く』(早川書房)を出してから今年で早8年。4000年から5000年も前の遺跡の話なので、8年という時間など全く問題にならないと思いきや、ここ数年、ストーンヘンジに関するかつてない規模の調査が行われ、これまでの定…

宇宙石

福島県北部にメノウ採取に行く途中、一部で有名(?)な、いわき市の「宇宙石」を見に行く。 牧草地が広がる、一本山毛欅という変わった名の丘の上にある巨大な花崗岩の一枚岩だ。人の手は全く入っていないものだが、かなり大きく、周囲が牧草地で見晴らしが…

続石

岩手県遠野には続石(つづくいし)という大きな石組みがある。9月の連休の東北旅行の帰りに立ち寄った。岩手の三ツ石神社、大湯のストーンサークルなど見て、久しぶりに巨石熱が高まったのだった。 続石は小山の中腹にある、とても大きな石組みだ。ガイドブ…

「世界ふしぎ発見」アイルランド 消えた魔法の民ダーナ神族を追う

遅ればせながら、先週土曜の番組の感想を。アイルランドの伝説に登場するダーナ神族の話と、ボイン渓谷の新石器時代のマウンド遺構群ニューグレンジ、ナウス、ダウス、少し離れて、ロホクルー、西岸スライゴー近郊の遺跡群カロウモアを紹介していた。 ニュー…

冬至のニューグレンジの朝は曇り

今年のニューグレンジ近辺は厚い雲に覆われていて、朝日は石室に入らなかったようだ。昨年は夜明け前に晴れて、参加者は大満足で帰ったようだが、今年は折角高い倍率の抽選で選ばれた人たちもがっかりしたに違いない。おそらく5000年前も毎年必ず朝日が差し…

ダーヴィッシュのジャケットとスライゴー

再び仕事で雪隠詰めの日々に...。 今年は昨年以上に「年末感」の無い年の瀬だ。もうちょっと待ってほしい。先週のコンサート以来、ダーヴィッシュの最新作「Traveling Show」を聴いている。ボーカル曲が多く、好きなアルバムだ。 ジャケットもいい。このバン…

冬至のニューグレンジ

今年もアイルランドの遺跡ニューグレンジの「冬至の朝のイベント」が近づいている。今年も朝日がどのように石室に入るか、ウェブキャストをやると、アイルランドの遺跡に関するサイトを運営しているマイケル・フォクスから連絡があった。http://www.newgrang…

マルタ旅行-4

マルタの魚船はルッツと呼ばれる、青、黄、赤、緑とカラフルな塗装を施したものが多い。舳先には独特な目のレリーフがついているが、これは遙かフェニキアに起源があるともいわれる、魔除けなのだそうだ。 いくつかの船には舳先に人魚などの素朴な絵が書いて…

マルタ旅行-3

マルタには大規模な地下神殿がある。HAL-SAFLIENI HYPOGEUMは、マルタの遺跡の中でも最も謎めいていて、新石器時代の建造物としても傑出している。前世紀初頭、住宅の工事に伴って偶然発見された、複雑な三層構造の、地下10メートル近くまで達する神殿だ。中…

マルタ旅行-2

マルタの遺跡の中で、最も複雑な構造を持ち、彫刻や装飾にも最も見所が多いのが、タルシーン神殿だ。 が、現在見学できる遺跡の中の多くの部分が復元されたもののようで、どこまでがオリジナルなのかよくわからいところがある。 大きな石を組み上げた門をく…

マルタ旅行-1

マルタ共和国はマルタ、ゴゾの二つの島からなる小さな国で、総面積は淡路島よりも小さい。 マルタには、おそらく世界最古といっていい巨石建造物が数多く残っている。紀元前3500年頃から栄えた文明は、この二つの島特有の、周囲の土地に類似したものは全く見…

チュニジア、マルタから帰国

チュニジア、マルタから帰ってきました。 チュニジアは地中海沿岸から南に下り、サハラ砂漠を巡って、再び地中海沿岸へ。 マルタはヨーロッパ最古の巨石神殿の撮影に行きました。マルタの遺跡は修復中の部分が多く、フェンスや鉄骨で囲われ、あまり思うよう…

「世界ふしぎ発見!」

12日のストーンヘンジとストーンサークル特集の「世界ふしぎ発見!」を楽しく視聴。でも、なぜ「ピクト人」を主役に据えようとしたんだろう。最初のうちはスコットランドのストーンサークルを作ったのはピクト人の先祖だったかもしれません、と言っていて、…

EL&P, 先生たちの世界

実に20数年ぶりくらいにEL&Pの「恐怖の頭脳改革」(なんて憶え安い邦題だろうか)を大きな音で聞いた。中学生の頃に聞いた時には、「トッカータ」に、ジャケットでギーガーが描く爬虫類的巫女のようなキャラクターが荒野の彼方から髪振り乱して迫ってくるよ…

世界ふしぎ発見!

今週土曜の、テレビ番組「日立 世界ふしぎ発見!」はイギリスの巨石文化特集です。ストーンヘンジの紹介から始まって、スコットランドの巨石に関する、「19年に一度の月の周期に合わせた石の配置説」を紹介されるようです。スコットランドには、南側に横倒し…

遺跡へのヴァンダリズム

左目の乱視が随分なスピードで進行している。これも老化の一種だろうか?一日中パソコンのモニタを見て仕事しているが、細かい文字を追うことは少ないので、モニタとの距離も70センチくらい離れている。これくらい離れていると、老眼用の眼鏡ではかえってぼ…

「ナショナル・トレジャー2」とテンプル騎士団、キルマーティン渓谷

「ナショナル・トレジャー2」を観たんだけれど、相変わらず突っ込みどころ満載だった。 そもそも、「先住民が残した遺産が」というけれど、どうしてアメリカがスペイン領であったメキシコの先住民の石造物をあんなに大規模にガメているのか。「これはオルメ…

イワクラフォーラム

大阪で開かれたイワクラ学会のフォーラムで講演をさせていただいた。大阪に行くのは生まれて初めてだったけれど、残念ながら仕事が詰まっていて、日帰りせざるをえず、まったく街を見ることもできず。 大阪の地下鉄は、東京のバスみたいに、アナウンスにコマ…

イワクラ学会のフォーラムの講演のお知らせ。

日本各地に残る磐座などの巨石遺構の研究者、愛好者からなるイワクラ学会のフォーラムでスライド上映と講演をさせていただくことになりました。 大阪で、5月31日です。ご興味のおありの方は是非いらしてください。文字も読めるチラシの拡大版はここにありま…

ストーンヘンジの発掘終了

BBCの資金で大がかりに行われたストーンヘンジの発掘は終了したが、大きな話題になるほどの発見はなかったようだ。以前に一度掘られているということもあるだろうが、元々、この遺跡は埋葬などには使われていなかったので、出土したのは石器や動物の骨、土器…

柱状節理

連休に伊豆の天城峠近辺に行ったが、河津には七滝(ななだる)と呼ばれる、滝の連なる渓谷の景勝地がある。今回は行かなかったが、確か遊歩道の最後の滝は柱状節理といって、溶岩流が冷えて固まる際に、六角柱状に割れて出来た岸壁沿いにあったと記憶してい…

『ふくろう通信』/ポーグスのビデオ

ハリー・ポッター・シリーズの愛読者の会である「ホグワーツ校友の会」の会誌『ふくろう通信』に拙著『巨石』の長い紹介文を掲載していただいた。ハリー・ポッター・シリーズは本も映画も接していないのだが、イングランドやウェールズの巨石遺構には魔女譚…

ストーンヘンジ発掘

発掘が続いているストーンヘンジからは、様々な時代の遺物が出土しているようだ。新石器時代のフリントが出てきたという記事がアップされていた。「フリント・ストーン」という漫画と映画があったが、フリントはチャートと呼ばれる堆積岩の一種で、主な成分…

ストーンヘンジ発掘

ストーンヘンジの本格的発掘調査がイギリスの国営放送BBCの資金で進行している。ストーンヘンジは前世紀前半に大まかな発掘が行われて以来、本格的調査が行われてこなかった。ちょっと意外な話だが、観光地として常に人の出入りがあることもあり、なかなか実…

「幼年期の終わり」/Pauliina Lerche

アーサー・C・クラークが亡くなって、久しぶりに「2001年宇宙の旅」でも見ようかという気になった。映画で飛んでいたスペース・シャトルは現実のものとなって久しく、既に「古いタイプ」の宇宙船になっているけれど、映画で描かれた「近未来」は、未だに「近…