仕事に使おうかと思い、アフリカのギージー族が使っていた「木の芽型貨幣」を買う。双葉がひょろっと延びた形の鋳鉄だ。鉄で出来た木の芽の束というのも、意外性があって面白いかなと思ったのだが、届いてみて試してみたらば、本当に枯れた木の芽の束にしかみえないのが意外だった....。残念。


アフリカには剣型貨幣、蛇型貨幣など、小規模に流通していた「貨幣」がたくさんあって、面白い。中国にもいろいろな形の貨幣があったが、こうしたユニークな「貨幣」の代表格というと、やはりヤップ島の石貨だろうか。
東南アジアではかつて黄色の宝貝キイロダカラが貨幣として流通していたが、高野秀行氏の「西南シルクロードは密林に消える」を読んだら、さすがに貨幣としては認められていないが、今でも腎臓だか肝臓だかの薬として、粉にして飲むという習慣が残っていたというから驚いた。貝殻はほとんどカルシウムなので、内蔵に効くような成分はない。
「西南シルクロード」は、所謂「シルクロード」よりも古いと云われる、中国南西部からビルマ、インドへと至る道らしいが、高野氏が「酔った勢いで」探索することになった、この「失われた道」行きは、とんでもない旅の記録だ。
国境をまたいでいる少数民族のゲリラからゲリラへと手渡されるようにして不法に旅するのだが、奇想天外、悲喜こもごもの道中は本当に一人の人間が体験したとは思えないもので、(実際、彼は帰国してから「これは本当なんですか」というような反応を多々受けていたらしい)、彼の本全てに言えるが、良質な青春小説を読んだような読後感がある。

西南シルクロードは密林に消える