フランス・巨石遺跡&洞窟壁画紀行 5日目

パリ二日目。

朝起きてルーブルのサイトを見たが、やはりチケットの空きはなかった。ほぼあきらめていたが、ネットをあれこれ見ていたら、ルーブルの予約チケットは当日の朝10時に更新されて少し出るので要チェックとあった。確かに、10時直前に合わせて見てみると空きが出ている。一番早い11時半の予約を入れた。ありがたし。

パリ市内にはレンタル自転車がたくさんある。ほぼ全て電動アシスト自転車だ。会社は二、三あり、ひとつはUberがやっている。これはアプリを入れれば簡単に使えるので、この日は地下鉄でなく自転車で回ることにした。ルーブルに行くには乗り換えがあるのでその方が速い。

電動アシスト自転車に初めて乗ったが、軽く踏んだだけで結構な推進力があるので驚いた。これは快適だ。そこら中にポートがあるので、簡単に乗り捨てられるのも便利だ。

 

 

ルーブルに着くと、すごい人だ。まだ予約時間前なのだが、並ばせている。並ぶのが大の苦手なのでげんなりしたが仕方ない。

古代オリエントの展示から見ていく。古代ペルシアの遺物など面白いものがたくさんある。初期の楔形文字タブレットの緻密さに驚く。

それにしてもアッシリアの巨大な彫像やペルセポリスの壁画など、よくまあこんなに大きなものを運んだものだと。大英博物館もそうだが。かつては世界のあちこちから勝手に運びたい放題だったんだろう。カンボジア・バンティアイスレイの女神像をアンドレ・マルローが勝手に本国に持ち出そうとして捕まった話も思い出した。

 

 

モナリザの前でみんな自撮りしているのがおかしかった。環境活動家が絵にスープをかけたりしたせいか、絵と見学者の距離がかなりあり、さらにすごい人だかりなので、がんばって柵の前まで行っても絵のディテールはよくわからないだろう。とても人の塊の中に入っていく気がしない。

ダヴィッドのナポレオンの戴冠式の絵とかドラクロア自由の女神とか、いろいろ有名な絵はあるが、面白いと思うものは少ない。が、ラ・トゥールの絵が複数あったのはよかった。誰も前で立ち止まっていないし、ゆっくり見られる。

あとはパンニーニの「古代ローマの景観図のギャラリー」か。

 

 

ルーブルは構造がちょっとわかりにくいのと、あまりに人が多いので結構しんどかった。

再び自転車に乗ってポンピドゥー・センターに。こちらも予約時間のグループごとに行列ができていたが、さすがにルーブルほどは混んでなかった。

ポンピドゥーセンターは現在一部工事中ということだったが、どこが工事でどこがデザインなのか一見わかにくくておかしい。ポンピドゥー・センターの建物を初めて知ったのはストラングラーズのジャン=ジャック・バーネルの1979年のソロアルバム「ユーロマン・コメス」だった。彼はフランス系のイギリス人で、「俺はヨーロッパ人なんだ」という自意識を押し出したもので、その後のEU発足への動きなどを考えると時代の先を読むような面もあったと思うが、「アラブ人が俺のホームタウンを買い占めてるってのに、天気の話なんかしてる場合か....」なんていう下りがあり、三島由紀夫好きなのでハラキリなんてのもあったりして、攻撃的というか人種差別のにおいもして、どうも詞が好きになれなかった。音は70年代ジャーマン・プログレに確実に影響を受けたものだったので、好みだったのだが。

 

 

ポンピドゥー・センターはルーブルと違って好きな画家の絵が多く、とても楽しめた。とくにルフィーノ・タマヨの絵を見られたのは予想外で嬉しかった。タマヨは個人蔵の絵が多いようで、メキシコでもほとんど見られなかったのだ。また、シュールレアリスム絵画がもっとたくさんあるかと思ったがそうでもないのが意外だった。エルンストの絵がひとつあり、これはとても良かった。ピカビア、ドローネーなどのキュビスム画家の絵も思ったほどないが、これは日本でも開催されたキュビスム展などで貸し出していたのかもしれない。

 

 

アンドレ・ブルトンの書斎という展示があり、これは画像で知っていたが、そのままの形で見られるとは思わなかった。机の上に石がいろいろ乗っているので細かく見る。なかなかいいアイ・アゲートがある。パエジナも。自然史博物館ではカイヨワのパエジナを見られなかったが。この二人は「飛び豆」事件で仲たがいしたと言われているが、好きなものはほぼいっしょだ。

 

 

この日はもう少しぶらぶらして宿に戻った。セーヌ沿いの屋台式古本屋を少し覗いたりして。少し前だったら博物画などを探してあちこち回ったが、今はどう考えても高いだろうからそういうこともせず。この古本屋街はオリンピック期間中撤去するという話になっていたが、猛反対にあって断念した。フランス人のこういう簡単に言うことを聞かないところはえらい。
街のあちこちにオリンピックの旗や幕がはってあり、屋外でイベントもやっている。きっと期間中はすさまじい人出になるだろう。それにしてもセーヌ川を見るかぎり、とてもここでトライアスロンなどできるようには見えない色だった。まあ、お台場もトイレの臭いがするとか言われていても強行したのだから、やるんだろうけれど。

 

 

レンタル自転車は便利ではあるが、やはり地下鉄に比べると割高ではある。少し前までは電動キックボードみたいなやつもレンタルしていたようだが、廃止になった。日本でも事故が増えているが、おそらく同じ理由だろう。

 

今回のパリの宿は部屋は狭いが、朝食は簡単なビュッフェになっていて、悪くない。外食すると本当に高くついてしまうので、朝がっつり食べて、だいたい夕方までもたせてきた。丸二日ひたすら博物館や美術館を回ったので、街の良さというのがいまひとつわからず。