恐竜の骨のスライス

ワシントン州の石屋から、恐竜の骨の化石のスライスが届いたが、悲しいことに欠けていた。板としては結構いい値段だったのに。厚さ6-7ミリ程度の板なので、簡単に割れてしまうものだが、段ボールに挟んで、大きな封筒に入れるという簡単な包装で、割れて当然、という感じだった。
石が割れて届くことは結構ある。欧米人は梱包は結構いい加減なのだ。世界で日本人ほど梱包にこだわる人種はいないとも思うが、何度も割れて届いて、その度に苦情を言って、一部返金してくれたりして、「今度はしっかりやったから」と言って、それでも割れて届いたりする。業者であれば多少は厳しくクレームをつけることができるが、収集家の奥さんが梱包していたりすると、「何度言えばわかるの?」とか、とても言えない。本人もがんばってくれてるのだが、どうしても我々の目からみるといい加減にやっているとしか見えないような程度にしかできないのだ。これは不思議としかいいようがない。
今回割れて届いた恐竜の化石のスライスは、瑪瑙化したものだ。アメリカでは瑪瑙やジャスパー化した化石はたくさん採れる。それらの中で色合いのいいものは板状にスライスされ、貴石の一種として宝飾用の石業者によって売られている。恐竜の骨の化石、瑪瑙化、あるいはオパール化したアンモナイト、大量の巻貝の殻が堆積したものがそのまま化石になったものなど、スライスして、数百円から数千円くらいの値段で売られている。さすがに恐竜の骨は少なくなってきているようだが、それほど高価なものではない。最もユニークなのは恐竜の糞が瑪瑙化した糞石で、結構綺麗なのだ。沢山とれるようで、日本で開かれるミネラルフェアーでも、切って磨いたものが3000円くらいで売っている。私の娘は恐竜の「うんちの石」が大好きで、幼稚園の時分から近所の子らに「うんちは石になるんだよ」と啓蒙していた。何言ってんだか、という反応だったが。


左が、今回割れて届いた骨のスライス、右はその部分拡大。骨の中の1-3ミリ角ほどの組織の空洞のひとつひとつに瑪瑙ができている。通常、瑪瑙は溶岩や堆積岩の中にできた空洞の中に成分が流れ込んで生成するのだが、この場合、骨の組織のひとつひとつの中に極小の瑪瑙ができている。右端は「糞石」。これを薄切りのコースターにして、来客のグラスの下に敷いて、「ところで、このコースター、何で出来てると思う?」なんて言ったらうけますよ、というような感じで売られていたりする。