貝拾いをして、昔、西表島で買ったおかしな貝を思い出して箱から出してみた。
自分の殻に他の貝殻をひっつけて成長する、泥棒貝というか、拝借貝なのだ。有名な泥棒の名前にちなんで、熊坂貝というらしい。学名は「貝学者」という意味の名で、貝ではなく、石などをくっつけて成長するものもあり、こちらは「地質学者」という名だというから名付けた人のセンスに感心する。

それにしても、どうしてこんなことをするようになったんだろうか。多分、死んだ貝や珊瑚のかけらなどで環境に溶け込む擬態なのだろうが、こうした「思いつき」みたいなものが遺伝として定型化し、継承されていくのだから、なんとも不思議なのだ。