俺の顔を見ろよ、医者。/カナダ人の「友達」

どうも胃がすっきりしないので、仕方なく胃腸病院に行く。行くときはいつも延々と待たされる病院なので、覚悟して行ったが、台風の影響か、比較的空いていた。だが、驚いたことに、応対した医者がずっとカルテばかり見ていて、最後まで一度も私の顔を見なかった。私も彼がどういう顔なのか良くわからなかった。「ともかく検査しましょう」という話なので、それでもOKなのかもしれないが、体の不調を訴えて来る患者の顔を全く見ないというのはどうなんだろうか。この医者は、私の顔が血まみれだったり紫色だったりすることはないと言い切れるのか? 非常に後味悪かった。

長らく行方不明だった、私のネット上のメノウ収集友達が再び現れた。フランス人の子どもで、アフリカのマリ生まれ、カナダ在住の、白人と黒人のハーフの人だ。オークションの連絡が元で、メールをやり取りするようになり、石の交換を何度かした。ネットで知り合った人としては最も親しくなった人物だった。面白い男で、マメにメールをくれたが、ややこしい性格で、他のコレクターの悪口をかなり酷い言葉で書き連ねてきたりすることが多かった。石屋から石を買う際に、値段交渉を上手く運ぶためといって、「来月から長く南米に行ってしまうから早く交渉を決着したい」と、嘘をついたりしていた。私にも口裏合わせをしてほしいとか、自分と知り合いだということを隠してほしい、とか、あれこれ言ってくるので、だんだんと面倒くさくなり、「あんたはいい友達だと思ってるけど、あんたの”戦略”には付き合いかねる」と言ったら、随分と傷ついてしまったようだった。元々株のディーラーだったようだが、このことがあった後、「僕はもう資本主義にはうんざりしてるんだ。どこか永住の地を探しに、中南米を旅することにした。戻ってこないかもしれない。さようなら。糞食らえカナダ!」みたいな連絡があり、その後、「今、パナマにいるんだ」というメールを最後に、連絡がとれなくなっていた。彼には生まれたばかりの子どもがいたので、赤ん坊を連れてあちこち旅して歩くというのも変な話だし、パナマの写真を送ってくるでもないし、またしても彼の「戦略」かなと、訝っていたのだが、半年くらい、完璧に姿を消していた。それが、先日ふとebayを見たらば、入札者のところに彼のIDがある。「なんだ、帰ってきたの?」と連絡すると、「やあ、いろいろあって、今カナダに戻ってるんだ。また詳しく話すから」とのこと。どこまでが本当なのかよくわからないのが、メールだけの付き合いのなんとも可笑しいところだ。