七福神巡り

lithos2007-01-07

あけましておめでとうございます。今年もなんとか日記を続けてみようと思っています。


今年の正月休みはひさしぶりに長めだったのに、もったいないことに風邪をひいてダウンしてしまった。
三日に東久留米市内の「七福神めぐり」をした。五つの寺に祀ってある七福神を巡って、朱印を押してもらうという趣向だ。とくにこうした縁起ものが好きなわけではないが、散歩するにはちょうど良いかなと家族ででかけた。これは仏閣版スタンプラリーみたいなもので、巡り始めて気がついたが、どうも全部の寺が本当に七福神に縁が深いわけでもないようだ。他で流行っているので、真似をしてみたという感じだった。朱印もとくに面白いものでもないが、ひとつ300円、七つ押してもらうと2100円......。三が日の寺はしんとしていて、わざわざ呼び鈴を押して出て来てもらう。かったるそうに出て来て、ポン、はい300円....、このお寺は三つ祀ってるのではい、900円、とやっているうちにだんだん釈然としないものが抑え難くなってきた。「ちぇっ!××坊主」なんて悪態をつきつつ巡ったのが悪かったのか、夕方から悪寒がしてきてダウン。
でも面白いところもあった。大黒天を祀っていた浄牧院では天狗を祀っていた。曹洞宗で、天狗の寺として知られる小田原の大雄山最乗寺と縁があるらしい。「どうしてこのお寺で天狗を?」と質問したが、受付の奥さんらしき人は答えられず、代わりに出て来た若い坊さんが「天狗を祀っている最乗寺と縁があるので」という返事。これでは答になってない。坊さんは話を聞かせてなんぼなんだから、天狗を寺に祀っていることの意味をそれらしく語ってほしい。受験生も天狗様の絵馬に「お願いします」と書いているじゃないか。この寺の大黒さんは三面大黒というもので、弁天さんと毘沙門天の顔が両脇についているという凄く強力なやつなのだ。そもそも大黒天というのはインドのシヴァ神と同一とされるマハーカーラという暗黒神だという。暗黒の破壊神がはるばる日本まで旅をしているうちに、戦闘の神になるなど変節し、大きな袋と打ち出の小槌をもった気前の良さそうな福の神になったのだから不思議だ。大黒=大国と音が同じなので、大国主神と同一視されたらしい。これを祀る同じ寺で天狗も祀っているのだから凄い。
恵比寿、福禄寿、寿老人の三つを祀っていた大圓寺は平安初期に開かれた古寺らしいが、入り口にある庚申塚や馬頭観音がなかなか雰囲気があった。17-18世紀のものらしい。見ざる聞かざる言わざるの三猿を娘に見せ、人の体の中に虫がいて、天に宿主の罪を告げ口するんだぜ、と言うと、途端に動揺し、不安を隠しきれない表情に。お前は7年しか生きてないのにそんなにやましいことがあるのか?
七福神といえば、最近、ebayなどで、布袋像を「笑う仏陀」として売っている。初めてこれを見たとき、「ああ、この売り手はとんでもない勘違いをしてるな」と思ったのだが、この誤解は組織的なもので、「笑う仏陀」像は世界のどこか(たぶん中国とかで)で量産され、欧米の「スピリチュアル」な雑貨屋などで沢山売られているのだった。イギリスのグラストンベリーのその手の店を覗いたら、ずらーっと「笑う太鼓腹の仏陀」像が並べてあった。笑ってるのはいいとしても、腹の出た仏陀っていうのはおかしいと思わないんだろうか。