メキシコ・シティー、オアハカ

メキシコ・シティーで家族と落ち合い、翌日は国立人類学博物館に。3度目だ。何度見ても飽きない異様な遺物の数々。展示されているオルメカの「石頭」二つを、前、横、後ろ、斜め横と盛んに撮影していると、娘が理解できないといった風に「いったい何やってンの?」と。お前にはこの石頭の面白さがわからんのか?
翌日は15年ぶりにテオティワカンの遺跡に。やはり「死者の大通り」は広い、ピラミッドはでかい(底面積は世界最大だ)。が、ここもやはり月のピラミッドの上に上がれず、ケツァルコアトルのピラミッドも近寄れずで、物足りなかった。週末ということもあり、大変な人出だ。太陽のピラミッドは一部間違った形で修復されているが、これを早々に修正する予定があるという。
 

二日後、南部の州都オアハカにやはり15年ぶりに。コロニアル風の建物が数多く残る綺麗な町で、織物、陶器、その他様々な民芸に溢れている。観光客も多いのだが、ヒップホップ系のスプレー落書きが多く、少々がっかりした。この手の落書きは判で押したように世界中どこに行っても全く同じ。西武線の車窓から見えるものと何ら変わりない。70年代はニューヨークの地下鉄にかかれたグラフィティなど面白いと思って、雑誌の切りぬきをとっておいたりしていたが、何も世界中で猿まねしなくても。
 

オアハカ州チアパス州とならんで、先住民の人口が多い州だ。昨年、教師の組合などが賃上げ闘争で大規模なストを敢行し、夏の観光の目玉であるゲラゲッツァの祭りが中止になった。賃上げ要求のデモがエスカレートして、道路を封鎖するなどに至った後、武装警官と衝突。発砲による死者も出たらしい。賃金だけでなく、背景にはいろいろな問題があるようだが、選挙に不正があるという抗議も含まれていたらしい。今年はちょうど選挙の日に訪れるので、もしかすると何か騒動があるかもしれないと思っていたが、平穏そのものだった。昨年のことで観光客がかなり減っていたようで、我々が当初予約していたホテルも直前になって営業停止になった。
私はメキシコの民芸が好きなので、オアハカでは民芸品を沢山見て歩いたが、どうも最近の量産品はいまいちだ。民俗色が薄れて、妙なポップ路線に走ったり、どこで誰が作ったのかわけのわからないもので溢れている。メキシコにはバリエーション豊富な仮面の文化があるのに、アフリカ風のおかしなお面が店に並んでいる。海外で作っているのではないだろうか。
15年前にも訪れた民芸品店Mano Magica=「魔法の手」があり、とてもいい古い面を売っていた。民芸好きでオアハカに行く人は是非。
  

翌日は近郊のサポテカ人の町の定期市と毛織物の町に。市は決まった曜日に近郊のいくつかの町にたつが、日用品から土産物まで何でも売っている。大変な賑わいだ。
また、オアハカの近くの「トゥーレの木」を見にいく。樹齢2000年超といわれるヌマスギの木で、幹周りは60メートル近くある。「世界最大」の木としてギネスブックに登録されている。とても一本の木とは思えないボリュームだった。
サポテカ人の古代遺跡モンテ・アルバンも再訪した。