エディンバラの地下世界

ヒストリーチャンネルで面白い番組をやっていた。スコットランドエディンバラの地下世界に関するものだ。
エディンバラの地下には様々な時代に作られた地下通路、地下街ともいえるものが広がっていて、観光客相手に地下ツアーなども行われている。かつて地下通路は下水、いや汚物だめのようになっていたらしい。バケツに入れた排泄物を「水だよ!」といつつ、階下に直接ぶちまけていたような時代があり、それらの汚物は皆、都市の地下に流れ込んでいた。建物の地下と上階はつながっていたため、下から立ち上がってくる病原菌で都市の衛生はかなり劣悪なものになり、伝染病が蔓延することもしばしばだったようだ。18世紀頃のパリが悪臭と汚物から立ち上ってくる毒気で大変な状態だったという話は良く聞くが、エディンバラも同じようなものだったらしい。
この恐ろしい汚物だめと隣り合わせで、貧民窟が広がっていた時代もあったという。
面白かったのはエディンバラ城の地下にアメリカ独立戦争の捕虜収容所があったという話と、近郊の町にかなり古い地下設備があり、テンプル騎士団が聖杯を隠したという言い伝えのようなものがある、という話だった。この地下世界は、ある民家の地下からつながっている。長らく、近代初期にかつてその場所に住んだ鍛冶屋の主人が作った地下室だと言われていたようだが、壁面の掘られ具合から中世にまで遡れる施設ではないかという説が浮上。さらに、フリーメーソンのシンボルマークに似たものが彫られている。スコットランドフリーメーソンテンプル騎士団との関連を強調する人は少なくないようで、こうなると、俄然「ダヴィンチ・コード」的というか、「ナショナルトレジャー」的というか......その手の歴史興味の対象になるのだが、この地下街はどのように広がっているか、未だにきちんと調査されていないというから、さらにそそるではないか。かなり昔に石塊で封印された通路があり、この通路を発掘すると上に通っている道路が陥没する可能性があるからというので、許可がおりないのだとか。
許可がおりなくても、「聖杯」が秘匿された場所があるかもしれないとなれば、強引に封印を破ろうとする者の一人や二人いてもおかしくないと思うのだが。