オーストラリアの瑪瑙愛好家

何故か風邪っぽいのが抜けない。その上、いきなりこの寒さで毛糸を着て仕事している。
オーストラリアから瑪瑙愛好家の老夫婦が来日。不運なことにちょうど天気が悪い4日間に重なってしまった。メールで数度やり取りし、一度交換した人だったのだが、リタイアして、3ヶ月かけて世界旅行をしてきたのだという。アメリカはオレゴンスコットランドウェールズ、オランダ、ドイツ、オーストリアチェコハンガリーと南下し、さらにスペイン、ポルトガル、モロッコ、エジプト、ヨルダン、トルコ、タイ、日本とやってきたのだ。旅の先々で瑪瑙コレクターに会って、最後に私が呼び出された。
浅草のホテルに宿泊していたが、会うなり、ちょっと部屋に来いと。ダブルベッドがぎりぎり入っているような小さな部屋だったが、次々とリュックから石を取り出し、「これはトルコの道端で偶然拾った瑪瑙だぞ」「これはハンガリーのコレクターからもらった原石」「モロッコの石屋にはろくな瑪瑙がなかった。でも、バスで移動中、窓越しに道端で良さそうな瑪瑙を売っているのを一瞬見かけたんだ。悔しかったね」と、語る。ふんふん、なるほどと聞きつつ、初めて会うのに、いきなりこんなに石の話をするってのも、不思議なもんだなとつくづく思うのだった。
この原石、君に預けるから、切って、半分送ってくれ、というのだが、私の切断機は小さく、大きな石はきれいに切れない。壊してしまうと悪いので、丁重に断った。
それにしても、60代後半でリュックをしょって旅行できるのだから、白人は元気なのだ。
日本には瑪瑙を売っている店はごく少なく、連れて行くところもない。上野に行き、雨の公園を歩き、寺や神社を巡った。やはり外国の人は東照宮のカラフルさに惹かれる。