スラウェシ島探訪9日目

スラウェシ島最後の日はタナ・トラジャから南下してスラウェシ島南端の年マッカサルまで車で移動する。8時間かかるし、道路事情によっては10時間かかるというので、夜明け前に出発した。飛行機に時間に合わせなくてはならないので、自動車をチャーターした。運転手は前日までと同じ人だ。山越えの道の途中で朝ご飯を食べる。小松菜の入ったインスタントラーメン。麺は「ミー」。有名なミーゴレンは「炒めた麺=焼きソバ」という意味だ。こちらはインスタント乾麺が普及していて、あちこちに広告がある。

運転手は凄まじいスピードで走り、どんどん前の車を追い越していく。景色もゆっくり見ていられない。「あ、今のは何?」と言っても、その時は既に数百メートル先まで行ってしまっている。あのー、かなり余裕をもって出たのだからそんなに急がなくてもと言うと、「そうだよね」と言いつつも、すぐにスピードアップ。ちょっと怖いくらいだった。この運転手は洋楽好きで、70-80年代のヒット曲が入ったメモリ・カードなど持っている。「これ、俺が高校生の頃の曲だぜ」と言うと、「そんなはずない」的な反応だった。
運転手が猛烈にすっ飛ばしたため、夕方5時過ぎ発の国内便に乗ればいいのに、マッカサルに昼前に着いてしまった。なんとしよう。
マッカサルは大都市だ。が、「特に行くべき面白い所もない」というのが、大方の見方のようだ。とりあえず腹ごなしをしようと、シーフードの食堂に。入口で魚を選んで調理してもらう形式だ。小型のガサミのような淡水のカニがある。これにする、と、指さして料理してもらうことにした。

運転手君の焼き魚定食はすぐに来たが、カニはなかなか来ない。手で食べる人が多い。器用にライスとおかずを混ぜながら食べる。
運転手君があらかた食べ終わってしまったころ、ようやくカニが来たが、これが軽く二人前以上あろうかという量で仰天した。とても一人で食べきれない。
「これ、本当に一人前なの?」と確認してもらったが、そうだと。支払い時に再び仰天。2500円くらいするではないか。普通の料理が500円くらいだからやはりカニは高い。本当は2人前だったんじゃないかと今でも疑っている。


オランダ統治時代のロッテルダム要塞跡を見学。中は博物館になっている。日本占領時代は捕虜収容所として使われていたようだが、その時代の記録は見当たらなかった。社会科見学の高校生のグループが近づいてくる。
「あのー...」というので、また写真かなと思いきや、英語でインタビューだった。
数人を代表して、成績の良さそうな女子が質問してきた。
「アナタは展示を見てどう思いましたか?」
「いや、たった今来たからまだ何も...」と言うと、インドネシアのJKは「あぁ、せっかく勇気を出して話しかけたのに」という感じの絶望的な表情になったので、慌てて「いや、えーっと、歴史的な展示がいろいろあって...」と適当に答える。


娘の土産にと、土産物屋で少し貝殻などを探すが、売っている店は無し。「貝? なんで?」という反応。蝶の標本とかは売っているのだが、綺麗な貝は無し。
そうこうしているうちに飛行機の時間が。ジャカルタに向かうライオン・エア機に乗り、スラウェシ島を発った。
飛行機と車で移動している時間が長く、ちょっと腰の痛くなる旅だったが、面白かった。スラウェシ島の人たちの人当たりの良さ、温厚さが印象的だった。